覇権安定論(読み)はけんあんていろん(英語表記)theory of hegemonic stability

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「覇権安定論」の意味・わかりやすい解説

覇権安定論
はけんあんていろん
theory of hegemonic stability

ある一国の勢力が他国を圧倒するほどに優越している覇権構造が存在するときに国際レジーム (体制) が安定し,逆に,覇権国が衰退するとそのレジームは不安定ないし変容を示す,とする国際政治経済理論。単独国が指導的地位にある状態においてのみ国際経済体制は安定するという C.キンドルバーガーの命題 (1973) を覇権という政治概念に結びつけて理論化したもの。アメリカの経済的地位の相対的低下に対する 1970年代当時の研究者の共通した深い関心を反映して,国際政治経済の長期的動向を,特に自由貿易体制と覇権の存在との関係に焦点を当てて解明しようとする試みのなかでしばしば適用された。しかし,80年代になると,この理論は必ずしも個々の具体的な歴史的事実と整合しないことが検証され,また大国支配を正当化するとの批判などを受けることになった。

出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報

今日のキーワード

自動車税・軽自動車税

自動車税は自動車(軽自動車税の対象となる軽自動車等および固定資産税の対象となる大型特殊自動車を除く)の所有者に対し都道府県が課する税であり、軽自動車税は軽自動車等(原動機付自転車、軽自動車、小型特殊自...

自動車税・軽自動車税の用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android