親父・親仁(読み)おやじ

精選版 日本国語大辞典 「親父・親仁」の意味・読み・例文・類語

おや‐じ ‥ぢ【親父・親仁】

〘名〙 (「おやちち」の変化した語か)
① 父親を親しんで呼ぶ語。現在では、他人に対して自分の父をへりくだっていう場合が多い。⇔おふくろ
浮世草子・好色一代男(1682)七「是こそむかし千手の前の親仁(オヤヂ)の所よ」
② 他人に対して自分の夫をいう語。
滑稽本浮世風呂(1809‐13)三「親仁(オヤヂ)どのはわたしにばかり食てかかる」
③ 年取った男を親しみをこめて、また、見くだして呼ぶ語。
※俳諧・西鶴大句数(1677)五「なふはや日のくれて候親仁殿 七十すくれは浮世の思ひ出」
④ かしらだったものを呼ぶ語。親分。主人。
梅津政景日記‐慶長一七年(1612)八月二六日「正右衛門返事に、おやぢの承事候間」
⑤ (親司) 和船乗組の職制の一つ。船頭につぐ幹部で、舵取りを担当し、船内取締りや船務の監督指揮をも務める役。〔時規物語(1850)〕
⑥ 羆(ひぐま)の俗称。山の親父
断橋(1911)〈岩野泡鳴一一「よくおやぢの出るところださうだが」

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報

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