家庭医学館 「角膜ジストロフィー」の解説
かくまくじすとろふぃー【角膜ジストロフィー Corneal Dystrophy】
角膜混濁(かくまくこんだく)が、徐々に両眼性に生じてくる遺伝性の病気です。角膜上皮(かくまくじょうひ)、実質(じっしつ)、内皮(ないひ)のそれぞれに変性症があり、さまざまなタイプが知られています。
日本で代表的なものには、上皮の変性症では膠様滴状変性症(こうようてきじょうへんせいしょう)、実質の変性症では格子状角膜変性症(こうしじょうかくまくへんせいしょう)、顆粒状角膜変性症(かりゅうじょうかくまくへんせいしょう)、斑状角膜変性症(はんじょうかくまくへんせいしょう)があります。
内皮の変性症であるフックス変性症(へんせいしょう)は欧米では非常に多いのですが、幸いなことに、日本ではまれです。
遺伝形式は常染色体劣性(じょうせんしょくたいれっせい)のものが多いのですが、顆粒状角膜変性症や格子状角膜変性症の一部など、優性遺伝するものもあります。
[症状]
混濁が軽いうちは、光がまぶしい、ときどきぼやけて見えるなどの症状のことが多く、混濁が進行すると視力低下の原因となります。ただし、若年から壮年にかけて視力が低下するものや、老年になってもほとんど自覚症状のないものまで、発症の時期や程度はさまざまです。
また、角膜ジストロフィーのなかには、異物感や疼痛(とうつう)を生じる発作をくり返す、再発性上皮(さいはつせいじょうひ)びらんをおこすものもあります。
[治療]
角膜ジストロフィーと一口にいっても、さまざまな疾患が含まれていますので、まず専門医の診察を受けて、その病気の性質や程度を判断してもらうことがたいせつです。
一般に薬物で治療できることはなく、進行例では角膜移植が行なわれます。角膜移植の成功率は悪くないのがふつうですが、病気によっては再発率が高いものがあり、くり返し角膜移植を行なうことになる場合もあります。