言語療法(読み)げんごりょうほう

百科事典マイペディア 「言語療法」の意味・わかりやすい解説

言語療法【げんごりょうほう】

言語機能の獲得や回復のための治療。口蓋裂手術や喉頭(こうとう)摘出手術後の発声指導なども含む。言語障害には,失語症,麻痺性構音障害聴覚障害によるもの,発達遅滞,吃音などがあるが,近年,脳血管障害の増加に伴い,言語療法の必要性が注目されるようになった。障害の程度はさまざまで,言語中枢のある左脳の損傷による後遺症発症する失語症のように,一言も話せず読み書きもできない場合もあれば,精神活動が不活発のために,話せるにもかかわらず話そうという意欲が欠乏している場合などもある。 治療法は,絵カードを見て漢字を書く,漢字や仮名を見て該当する絵を指し示す,単語短文を復唱するなど。主に医療機関や,福祉施設,養護学校などで,専門の言語聴覚士によって治療が行われる。 言語聴覚士には,言語障害の診断や治療,予防などに関する専門的な知識や技術,他の治療法を行う医療チームとのコミュニケーションに必要な幅広い知識,きめこまかな研究能力などが要求される。また,後遺症で言語障害になった患者の喪失感に対する精神的ケアにも一役かっている。社会的な認知度が低いことや,診療保険点数が低く医療機関で雇用しにくいことなどの理由で,国家資格の法制化は遅れていたが,1997年12月に言語聴覚士法が制定。言語療法士・言語治療士などさまざまな名称で呼ばれてきたこの分野専門家は,国家資格である言語聴覚士として呼ばれるようになった。1999年3月には第1回の国家試験が行われた。
→関連項目芸術療法

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