出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報
国政調査の一環として、国会が不正や疑惑の解明のため、強制的に証人に出頭を命じ、問いただすこと。議院証言法では、証人が偽証した場合には3か月以上10年以下の懲役、正当な理由のない証言拒否も1年以下の禁錮または10万円以下の罰金など、厳しい刑罰が規定されている。証人喚問の手続を定めた議院証言法は終戦直後に隠匿物資摘発に関連してできた法律のため、人権保護への配慮が十分ではなく、ロッキード事件(1976)などで行われた証人喚問でも「人権無視」の批判が起こり、1988年(昭和63)に、証人に補佐人をつけることや尋問中のテレビ、カメラの撮影は許可しないなどの改正をした。
しかし、1998年(平成10)10月の議院証言法改正で
(1)証人喚問を実施する委員会の委員長(または両院合同審査会長)が証人の意見を聴いたうえで、委員会(または両院合同審査会)に諮って許可する
(2)証人は意見を述べるにあたっては、その理由について説明することを要しない
との条件をつけて撮影、録音が許されるようになった。だが、これでは、証人の意向に反しても、委員長の方針しだいで喚問が行われることになり、証人への人権侵害の可能性があるとの指摘も出ている。
1999年12月14日には、参議院の財政・金融委員会で、強引な債権取り立てで問題となった商工ローンの日栄社長松田一男と、商工ファンド社長大島健伸(けんしん)に対する証人喚問が行われ、20年ぶりのテレビ中継、写真撮影が行われた。委員会の冒頭、委員長平田健二は「証人は『なるべくなら撮影と録音は辞退したい』という意見でした」と、松田の意見を紹介してから、証言中の撮影、録音の可否を採決、19人の委員は全員、「賛成」の挙手をした。
証人喚問に関しては、ロッキード事件、リクルート事件(1988)、東京佐川急便事件(1992)など、政治家を巻き込んだスキャンダルが明るみに出るたびに行われてきた。しかし、国会議員には検事のような強制的な捜査権がなく、野党の尋問は、新聞記事などに頼った迫力のないものがほとんどであった。真相究明にはほど遠いため、証人喚問をしてもむしろ政治不信が強まるという状況になっている。
[橋本五郎]
(星浩 朝日新聞記者 / 2007年)
出典 (株)朝日新聞出版発行「知恵蔵」知恵蔵について 情報
出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報
自動車税は自動車(軽自動車税の対象となる軽自動車等および固定資産税の対象となる大型特殊自動車を除く)の所有者に対し都道府県が課する税であり、軽自動車税は軽自動車等(原動機付自転車、軽自動車、小型特殊自...
4/12 日本大百科全書(ニッポニカ)を更新
4/12 デジタル大辞泉を更新
4/12 デジタル大辞泉プラスを更新
3/11 日本大百科全書(ニッポニカ)を更新
2/13 日本大百科全書(ニッポニカ)を更新