職務権限の性質に基づき分類された行政機関の一類型であって,一般に行政庁の行政活動や決定にあたって,当該行政庁に対し,その諮問に応じまたは自発的に調査審議し,参考となるべき意見を述べる権限を有する機関をいう。法制度上は,国の府省・委員会および庁に法律または政令により設置しうる審議会など(国家行政組織法8条。例,社会保障制度審議会,法制審議会,中央教育審議会,地方制度調査会など。1995年現在218ある)のほか,地方公共団体の執行機関に法律または条例により設置しうる審議会・調査会など(地方自治法138条の4-3項)があるが,法制度外の私的諮問機関も多様化されている。諮問機関の存在理由は,一般に利害関係人または国民(住民)の利害調整・参加,専門知識の導入,中立公正の確保,行政の総合調整などの行政の民主化と科学化・合理化のための手法たる点にあるとされる。しかし,現実には官僚・議員の委員としての参加,いわゆる学識経験者方式,行政当局による委員自由選任制,運営の秘密主義などの問題があり,その形骸化・御用機関化が指摘,批判されている。これを変えるには,一般に委員選任方式,委員構成の民主化(例,利益代表制化),そのための具体的委員構成基準や運営の公開などが必要とされている。なお,諮問機関は,通例,合議制をとる(独任制の場合は顧問,参与などの名称をとる)。また,諮問機関の意見(答申,勧告など)は,一般に最大限尊重されるべきではあるが,行政庁を法的に拘束しない。ただ,法令上義務づけられた諮問手続を欠く行政庁の決定は原則として違法となる。
執筆者:間田 穆
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
行政庁の求めに応じ、または自ら進んで調査審議を行い、行政庁に対し参考となるべき意見を陳述する権限をもつ行政機関。法令上は、国や地方公共団体の行政機関や執行機関に附属機関として設置され、審議会、協議会、調査会などの名称が付されている(国家行政組織法8条、地方自治法138条の4第3項ほか)。都市計画審議会、中央社会保険医療協議会、地方制度調査会など、その数は多い。諮問機関の意見・答申は、行政庁を法的に拘束するものではなく参考意見にとどまるが、諮問機関の設置目的(行政の民主化・科学化など)に照らして、最大限度尊重されるべきであろう。
[福家俊朗]
出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報
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