デジタル大辞泉
「踏」の意味・読み・例文・類語
出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例
ふま・える ふまへる【踏】
〘他ア下一(ハ下一)〙 ふま・ふ 〘他ハ下二〙
① 足の下にする。踏みつけて押える。物の上にのぼって、力を加えるようにして立つ。ふまゆ。
※
狭衣物語(1069‐77頃か)三「人々、あまたありける限り重なりて、衣の裾をおのおのふまへつつ、すきすきに倒れ伏したるは」
② 押えつけて、活動できないようにする。支配する。配下におさめる。
※
太平記(14C後)二七「畠山左京大夫清国紀伊国の
守護にて坐しけるを呼び奉りて、
石川の城をふまへさせて」
④ 判断のよりどころにする。根拠とする。心だのみとする。
※古文真宝桂林抄(1485頃)坤「とつこもしたに
仁義をふまえたぞ」
※小説平家(1965‐67)〈
花田清輝〉三「以上述べてきたような事実を踏まえた上で」
ふみ【踏】
② 取引市場で、
売値よりも高騰したりした時、受け渡しの
期限に先だって、買い戻しをして
損失を少なくすること。
※大坂繁花風土記(1814)米方通信「ふみ」
③ 地面などを踏むこと。また、その踏んだ感触、ぐあいなど。
ふまえ ふまへ【踏】
〘名〙 (動詞「ふまえる(踏)」の連用形の名詞化)
① その上に積み上げることのできるもの。土台。基礎。根拠。
※中華若木詩抄(1520頃)中「底のふまへは、太平の御代なれば、四海浪打をさめて」
③ 踏み台。
※玉塵抄(1563)二九「つねには天河のあまの河え槎にのっていて織女のはたをるふまえにする石をとってきたとあり」
ふんま・える ふんまへる【踏】
〘他ア下一(ハ下一)〙 (「ふまえる(踏)」を強めたいい方)
① 踏んでおさえる。足の下に踏みしく。
※人情本・春色淀の曙(19C中)二「宅(うち)に居るのを厭がる。三歳児(みつご)の魂百までと、喩の通り末始終、此処を踏(フンマ)へることは出来めえ」
② よりどころとする。
※西洋道中膝栗毛(1870‐76)〈仮名垣魯文〉六「古人三馬を踏(フ)ンまへた趣向だらう」
ふま・ゆ【踏】
〘他ヤ下二〙 (ハ行下二段動詞の「ふまふ(踏)」から転じて、室町時代頃から用いられた語。多くの場合、終止形は「ふまゆる」の形をとる) =
ふまえる(踏)※政基公旅引付‐永正元年(1504)四月五日「国衆は昨日小々海生寺ふまゆべきとて城へ入つれ共」
ふま・す【踏】
〘他サ五(四)〙 値段をつけさせる。評価させる。見積もらせる。ふませる。
※片ゑくぼ(1894)〈尾崎紅葉・小栗風葉〉一〇「何れか古着屋へと頼めば、幸ひ手前知己(ちかづき)の店へ持て行き、眼一杯に踏(フマ)してくれませう、と」
ほ・む【踏】
※書紀(720)仁徳即位前(前田本訓)「船を蹈(ホム)て傾す」
出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報
世界大百科事典(旧版)内の踏の言及
【踊り】より
…舞が囃子手など他者の力で舞わされる旋回運動を基本とするのに対して,踊りはみずからの心の躍動やみずからが奏する楽器のリズムを原動力に跳躍的な動きを基本とする。〈躍〉〈踏〉〈をどり〉などの字も用いる。舞が選ばれた者や特別な資格を持つ者が少人数で舞うのに対し,踊りはだれでもが参加できるため群をなす場合が多く,場も特殊な舞台を必要としない。…
※「踏」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」