転位歯車(読み)てんいはぐるま(英語表記)profile shifted gear

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「転位歯車」の意味・わかりやすい解説

転位歯車
てんいはぐるま
profile shifted gear

インボリュート歯車で,標準歯車を切削するときよりも,工具の位置を前後若干ずらして歯切りした歯車。歯車の外方向にずらす場合を正転位,中心方向にずらす場合を負転位と呼ぶ。工具をずらす量を転位量,この転位量をモジュールで割った値を転位係数という。歯切りの際に工具の歯先によって歯元の一部がえぐり取られて歯の強度が低下する切下げ (アンダカットともいう) と呼ばれる現象を避け,歯の曲げ強度を向上させるほか,噛み合い状態を改善する目的で広く使用されている。

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世界大百科事典(旧版)内の転位歯車の言及

【歯車】より

…ふつうのインボリュート歯車の歯切りは,図8-aのように,ラックカッターの中心線(基準ピッチ線)が切削されるべき歯車のピッチ円に接するようにして行われ,このようにして作られる歯車は標準歯車と呼ばれる。これに対して図8-bのようにラックカッターの位置を被切削歯車の半径方向に動かし(これを転位という),ラックカッターの中心線からある距離だけ離れた一つの直線をピッチ線として,被切削歯車のピッチ円をこのピッチ線に接するようにして歯切りしたものを転位歯車という。ラックカッターのピッチ線がラックの中心線より下に移行するときの歯切りの状態を正転位,この反対の場合を負転位という。…

※「転位歯車」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」