日本大百科全書(ニッポニカ) 「追い出し部屋」の意味・わかりやすい解説
追い出し部屋
おいだしべや
希望退職に応じないリストラ対象社員を1か所に集め、自主退社へと促すための部署。追い出し部屋は通称で、設置する企業ごとに名称がある。2012年(平成24)末にマスコミ報道され、存在がクローズアップされるようになった。厚生労働省が2013年1月に公表した「退職強要の有無等に関する調査」によると、マスコミで追い出し部屋の存在を報道された複数の大手企業で一定の従業員を集めて、それまでと違った業務につかせている部署の存在が確認されている。
会社側は追い出し部屋に対し、労働基準法などの法令違反にならないよう、人事ローテーションを行うための待機部署、緊急時に現場をバックアップするサポート部署などとして、形式的な役割を定め、人事担当者は、リストラ対象社員を出勤から退勤まで監視し、さまざまなプレッシャーを与え続け、精神的に追い込むことで、自主退社に持ち込む、というようなことが行われているとされる。片道切符の人事異動であり、現業に復帰することはない。
1990年代にも同様の問題が注目を集めた。セガ・エンタープライゼス(現、セガ)が退職金の支出を抑制するため、本社内に「パソナルーム(自己研修部屋)」を設置。窓のない部屋へとリストラ対象社員を押し込み、自主退社へと追い込んでいたことが「座敷牢問題」とされた。
[編集部]