逆機能(読み)ぎゃくきのう(英語表記)dysfunction

翻訳|dysfunction

日本大百科全書(ニッポニカ) 「逆機能」の意味・わかりやすい解説

逆機能
ぎゃくきのう
dysfunction

人々の欲求充足や目標達成を妨げる働きや、システム存続発展にとってマイナスに働くような活動をいう。

 このような意味での逆機能ということを考えるうえで重要なことは、人々は意図して、あるいは好んで逆機能を求めるのではなく、それを回避しようとするのが普通である。したがって、逆機能はある活動の意図しなかった、あるいは予期しなかった結果として生じるのである。たとえば、近代社会における法の支配は、法を執行する人々の私情主観を抑えて、できる限り法の前の平等主義によって人々を公正に取り扱うという機能をもっているのであるが、しかし法による支配はしばしば法律万能主義や繁文縟礼(はんぶんじょくれい)あるいは画一主義をもたらし、結果として法の支配の本来目的を妨げるという逆機能をもたらしうるのである。

[佐藤慶幸]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「逆機能」の意味・わかりやすい解説

逆機能
ぎゃくきのう
dysfunction

正機能 (順機能) eufunctionとの対置概念。従来機能主義の目的論的性格を補正して発展させるために R.マートンによって提起された。機能的要件としてのある事象の観察結果が,その事象を含む上位体系の存続,均衡安定,問題解決などに対して促進的であれば正機能と呼ばれ,阻害的に作用していれば逆機能となる。現実的にはこの2つの機能を同時に果す場合が多く,上記の判断もしばしば観察者の価値観点の相違による。

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