出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報
1通の文書に2名以上の者が連名で署名をし,花押あるいは印を据えること。〈れんばん〉とも読む。類似の語に連署があるが,これは必ずしも花押・印を伴わず署名のみのときにも用いられる。また連署の呼称は奈良時代より見え,近世に及ぶが,連判は主として中世以後用いられた。連判をする人が少ないときは同一線上に連ねるが,多人数のとき,また文書によって上下2段に分けて書かれる。2段書きの例としては,平安後期の政所下文(くだしぶみ)や院庁下文にみえ,別当より四位以上の家司は上段に,五位以下の者は下段に署名する。中世文書では武家の下文,御教書(みぎようしよ),下知状(げちじよう),奉書などにおいて,2人以上の奉者が連判するのが普通で,江戸幕府の老中奉書なども同様である。いずれもあて名に近いほうが上位者である。近世においておおぜいの百姓が連判のうえ,上申する文書が多くみうけられるが,特異な文書としては中世・近世における傘連判(からかされんばん)がある。
執筆者:高橋 正彦
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