郷に入っては郷に従え(読み)ゴウニイッテハゴウニシタガエ

デジタル大辞泉 「郷に入っては郷に従え」の意味・読み・例文・類語

ごうってはごうしたが

その土地に住むにはそこの風俗習慣に従うのが処世の術である。
[補説]「郷にりては」の音便化であるから、「はいっては」とは読まない。また、「郷に行っては郷に従え」とは書かない。

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

ことわざを知る辞典 「郷に入っては郷に従え」の解説

郷に入っては郷に従え

よその土地へ行ったら、その地の風習を尊重し、これに従うがよい。文化の異なるところでは、その文化を尊重することが大切で、むやみに自分たちのやり方を持ち込んではならない。

[使用例] 「気に入りませんか。でも、とてもよく似合いますよ」身の置きどころもない、といったおゆきの様子を見て、カション夫人が言った。
 ここは異人館なのだから、郷に入っては郷に従えだ、とおゆきは自分に言い聴かせた。髷も解いて夫人の助言にしたがって真中から分け、それをきつく後ろで束ねた[船山馨*蘆火野|1973]

[使用例] 場内では原則的にはキロ単位で売り買いすることになっている。〈略〉デパ地下で買い物するみたいに「ちりめんじゃこ二百グラムちょうだい」は御法度だ。〈略〉郷に入っては郷に従えで、素人衆が外のルールを勝手に持ち込んではいけない[小林充*築地しきたり|2003]

[解説] 「郷」は、今日では耳慣れない語ですが、古代律令制の行政単位として使われていたもので、訓読みの「さと」と理解しておいてよいでしょう。漢文の訓読調で、古臭く感じるかもしれませんが、中身現代世界でも十分に通用するもので、むしろ海外に行く機会が多くなった今日、いっそう重要なものになっています。いったん内容を理解すると、簡潔な文で「郷」の繰り返しが耳に残ります。
 中国から入ったもので、寺子屋教科書どうきょう」では「郷に入っては郷にしたがい、俗に入っては俗に随え」と漢文で教えられ、広く知られようになりました。

英語〕When in Rome do as the Romans do.(ローマではローマ人がなすようになせ)

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