酸欠死(読み)さんけつし(英語表記)oxygen-deficiency death

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「酸欠死」の意味・わかりやすい解説

酸欠死
さんけつし
oxygen-deficiency death

内湾,内海湖沼ダム湖および養鰻池などの水域において,魚介類が酸素欠乏で斃死する現象。水中酸素が欠乏する原因には,水が停滞し底沼が嫌気化すること,水塊中の微生物が有機性汚濁物質(→浮遊物質)を摂取するときの呼吸による酸素消費,異常増殖した藻類の酸素消費による貧酸素水塊(→赤潮)や無酸素水塊の形成などがあげられる。内湾において沈殿した有機性汚濁物質が細菌などによる分解を受けて,酸素が消費され嫌気化が進行し,硫酸還元菌などが増殖するようになると無酸素水塊が形成され,その水塊が水流により湧昇すると,底生生物が酸欠で死滅する現象が観察される。この無酸素水塊は,硫黄粒子により青色を呈していることから青潮と呼ばれる。酸欠死の起こる環境は水質汚濁富栄養化が進行しているか,底泥に有機物が堆積していることを示唆している(→嫌気性堆積物)。

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