デジタル大辞泉
「重重」の意味・読み・例文・類語
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おもおも‐し・い【重重】
〘形口〙 おもおも
し 〘形シク〙
① 地位身分が高くて
威厳がある。かんろくがある。⇔
軽々しい。
※
落窪(10C後)四「あまたの子生み出でて、いとおもおもしくて、まゐりまかでしける」
②
性格、
態度、表現などがこせこせしていない。落ち着いて慎重なさまである。ゆったりとしている。⇔
軽々しい。
※
源氏(1001‐14頃)
澪標「母みやすむ所、いとおもおもしく心ふかきさまにものし侍りしを」
③ 尊重しなければならないという感じがする。おもだっている。丁重に扱うべきである。⇔
軽々しい。
※源氏(1001‐14頃)若菜上「をもをもしき御めのとのせうと、左中弁なる、かの院のしたしき人にてとしごろつかうまつるありけり」
④ 気分が浮き立たず、暗く沈んだ感じである。
※人情本・花筐(1841)初「傍で引立てるやうにしてくれるけれど、サテどうも気が重々しくッて困るのサ」
※おとづれ(1897)〈
国木田独歩〉上「泥を噛む轍の音重々
(オモオモ)しく聞えつ、車来りぬ」
おもおもし‐げ
〘形動〙
おもおもし‐さ
〘名〙
じゅう‐じゅう ヂュウヂュウ【重重】
[1] 〘名〙
① (形動) 幾重にも重なっていること。重なりあうこと。また、そのさま。ちょうちょう。
※本朝麗藻(1010か)上・花色照青松〈
大江以言〉「花色重々徳及
レ隣、青松引照仮
二濃春
一」
※太平記(14C後)二一「
松明(たいまつ)を振上げて、塔の重々
(ヂウヂウ)に火を付けけるが」 〔隋煬帝‐望江南詩〕
② 重なりあうところ。段階。わかれ目。
※梵舜本沙石集(1283)七「今生の心の趣き、行徳知恵の分に随て、重々不同ありと云へり」
[2] 〘副〙 かさねがさね。たびたび。よくよく。〔
日葡辞書(1603‐04)〕
※虎明本狂言・
箕被(室町末‐近世初)「さればされば、重々そなたのが
道理じゃ」
おも‐おも【重重】
〘副〙
① (「と」を伴って用いられることが多い) (態度などが)どっしりと落ち着いているさま。重々しく。
※
史記抄(1477)
一九「ちっと重々として、
節義を本にする処かあるぞ」
② いかにも重そうなさま。ずっしり。
※歌舞伎・東海道四谷怪談(岩波文庫所収・白藤本)(1825)四幕「御病人に似合ぬ、一とかたげにおもおも盛て、三、四ぜん」
※春迺屋漫筆(1891)〈
坪内逍遙〉をかし「
招待の謝をのべ〈略〉
最後に口重々
(オモオモ)と陳じて曰く」
かさね‐がさね【重重】
〘副〙 (動詞「かさねる(重)」の
連用形を重ねたもの)
① 幾度も繰り返すさま。たびたび。しばしば。
※玉塵抄(1563)
一六「よい香のする酒はかさねかさねかうこと
大儀なほどに」
※咄本・軽口御前男(1703)一「かさねがさねのぶ調法申ました」
② 事態がはなはだしいさま。自分の心情を述べるときなどに用いる。ますます。ひとえに。じゅうじゅう。
※虎明本狂言・比丘貞(室町末‐近世初)「『又此いはひに、おあし百貫まいするぞ』『かさねかさねかたじけなふ御ざる』」
かさね‐じゅう ‥ヂュウ【重重】
〘名〙 幾組も重ねることができるように作った重箱。組重(くみじゅう)。
出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報