野々口立圃(読み)ノノグチリュウホ

デジタル大辞泉 「野々口立圃」の意味・読み・例文・類語

ののぐち‐りゅうほ〔‐リフホ〕【野々口立圃】

[1595~1669]江戸前期の俳人京都の人。名は親重ちかしげ雛人形屋を営み、雛屋と称した。連歌和歌に長じ、俳諧松永貞徳に学んだが、のち貞徳に対抗して一派を開いた。著「はなひ草」、句集「そらつぶて」など。

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精選版 日本国語大辞典 「野々口立圃」の意味・読み・例文・類語

ののぐち‐りゅうほ【野々口立圃】

江戸初期の俳人。野々口氏。名は親重別号松翁松斎・如入斎。京都の人。雛人形の細工を業とし雛屋、紅屋と称す。連歌を猪苗代兼載に、和歌を烏丸光広に学ぶ。俳諧は貞徳に学んで立圃流を開いた。書画にも通じた。編著十帖源氏」「はなひ草」「河船徳付万歳」「そらつぶて」など。文祿四~寛文九年(一五九五‐一六六九

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「野々口立圃」の意味・わかりやすい解説

野々口立圃
ののぐちりゅうほ

[生]文禄4(1595).京都
[没]寛文9(1669).9. 京都
江戸時代前期の俳人。名,親重。通称,庄右衛門 (市兵衛,宗右衛門,次郎左衛門とも) 。法号,日英。雛人形の細工業を営み,家号は雛屋または紅屋。家業のかたわら,連歌を猪苗代兼与に,和歌を烏丸光広に,書を尊朝法親王に,俳諧を松永貞徳に学び,画もよくした。俳諧は貞門高弟であったが,寛永 10 (1633) 年『犬子集 (えのこしゅう) 』編集のことで松江重頼と争い,貞徳と疎遠になった。同 17年以後 10年間江戸に居を構え,以後,筑紫,備後福山,大坂などに住み,万治3 (60) 年京都に帰住。編著に『誹諧発句帳』 (33) ,『はなひ草』 (36) ,『追善九百韻』 (37) ,『空つぶて』 (49) ,『河舟徳万歳』 (53) ,『小町踊』 (65) などのほか,『源氏物語』の梗概書『十帖源氏』 (61) ,仮名草子『おさな源氏』がある。

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朝日日本歴史人物事典 「野々口立圃」の解説

野々口立圃

没年:寛文9(1669)
生年:文禄4(1595)
江戸前期の俳人。名は親重。庄右衛門,宗左衛門,市兵衛,次郎左衛門とも伝えられる。京都の人。初号親重,のち立圃,立甫。別号松翁など。雛人形の細工を業として雛屋を称し,紅粉染めに巧みで紅屋の称もあった。家業のかたわら,連歌を猪苗代兼与,和歌を烏丸光広,書を尊朝法親王に習った。俳諧は松永貞徳に学び,寛永8(1631)年2月,近世初の俳諧選集『犬子集』の編集を,同門の松江重頼と共に任されたが,編集上のことで重頼と争い,貞門を離れて独立した。その作風は,「天も花に酔へるか雲の乱足」など優美,温和で,「上京風にて,句作りやはらかに,誹言よはよはとして仕立うつくし」(『貞徳永代記』)と評される。寛永13年,最初の俳諧作法書『はなひ草』を刊行,多くの門人を擁し,寛文5(1665)年には門下を結集し,一大選集『小町踊』を刊行した。画技は中年からのものだが,珍重され多くの俳画が残っている。<参考文献>木村三四吾「野々口立圃」(明治書院『俳句講座』2巻)

(加藤定彦)

出典 朝日日本歴史人物事典:(株)朝日新聞出版朝日日本歴史人物事典について 情報

デジタル版 日本人名大辞典+Plus 「野々口立圃」の解説

野々口立圃 ののぐち-りゅうほ

1595-1669 江戸時代前期の俳人。
文禄(ぶんろく)4年生まれ。京都の人。連歌を猪苗代兼与(いなわしろ-けんよ)に,俳諧(はいかい)を松永貞徳(ていとく)にまなぶ。松江重頼と対立して,貞徳門をはなれて一流派をひらいた。寛文9年9月30日死去。75歳。名は親重。通称は庄右衛門,宗左衛門。別号に松翁,如入斎。編著に「はなひくさ」「空つぶて」など。
【格言など】月花の三句目を今しる世哉(辞世)

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「野々口立圃」の意味・わかりやすい解説

野々口立圃
ののぐちりゅうほ

立圃

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世界大百科事典(旧版)内の野々口立圃の言及

【立圃】より

…江戸前期の俳人。また,書画に巧みであった。姓は野々口,名は親重(ちかしげ),通称は伝に庄右衛門,市兵衛,宗右衛門,次郎左衛門など,別号は松翁,松斎,如入斎。雛人形の細工を業として雛屋(ひなや)と称し,紅粉(べに)染にも巧みで,紅屋,紅粉屋とも称した。京都の人。家業のかたわら,烏丸光広(からすまるみつひろ)に和歌を,猪苗代兼与(いなわしろけんよ)に連歌を学び,古典にも通じて《十帖源氏》《稚(おさな)源氏》を著した。…

※「野々口立圃」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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