デジタル大辞泉
「金太郎」の意味・読み・例文・類語
きんたろう〔キンタラウ〕【金太郎】
源頼光の四天王の一人、坂田金時の幼名。相模の足柄山に住む山姥の子といわれ、獣を友として育った怪力の持ち主。浄瑠璃・歌舞伎では怪(快)童丸の名で登場。
1 をかたどった人形。
2 《1が掛けているところから》ひし形の布地の三つの隅にひもをつけた、幼児の腹掛け。
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きんたろう キンタラウ【金太郎】
[1] 平安時代中期、源頼光の四天王の一人で、酒呑童子退治にも同行したとされる
坂田金時(公時とも)の幼名。また、それにまつわる伝説。相模の
足柄山の
山中で、山姥
(やまうば)を母とし、熊などの野獣を友として成長したという。鉞
(まさかり)を手にし、全身赤色の皮膚を持ち、怪力の
持主。その物語は室町期に成立したと推定され、江戸期の浄瑠璃、歌舞伎などで脚色され、特に近松門左衛門作の「
嫗山姥(こもちやまんば)」で広く知られるに至った。
[2] 〘名〙
① (一)をかたどった人形。
※談義本・つれづれ睟か川(1783)四「金太郎(キンタロウ)は鰯の名字にまがふ」
④ 素人で遊芸に熱中すること。また、その人。
※浄瑠璃稽古穴捜伊呂波歌(1830‐44頃)「さみせんの一をてんじゃとぬかすのにどうのかうのといぢる金太郎」
⑤ ばかのことをいう、人形浄瑠璃社会・芸人仲間の
隠語。〔洒落本・虚実柳巷方言(1794)〕
⑥ うぬぼれ。
文政~天保(
一八一八‐四四)の頃、
上方で流行した語。
※当世花詞粋仙人(1832)「おのれがでによふがる、金太郎」
※
人情本・春色江戸紫(1864‐68頃)三「『何ぞ喰って来い』と自己
(おの)が名に呼ぶ金太郎を紙にひねって渡しければ」
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金太郎
きんたろう
英雄生い立ちの物語。金太郎は足柄(あしがら)山(神奈川県)の山姥(やまうば)の子で、山中で生まれ育ち、子供のときから大力であったという。江戸初期以来、桃太郎と並ぶ子供の姿の英雄として親しまれ、男の子の象徴として、早くから五月人形にもつくられた。源頼光(らいこう)の四天王の一人、坂田(酒田)金時(公時)の幼名とされる。素性については、古浄瑠璃(こじょうるり)の公平(きんぴら)本『公平誕生記』(1660前後)などにみえるのが古い。『清原右大将』(1677)に「怪童(かいど)」とあり、近松門左衛門の浄瑠璃『嫗山姥(こもちやまんば)』(1712)以後は快(怪)童丸が通称になる。金太郎の名は江戸中期ごろからのようである。『前太平記』(1717)には、山姥が足柄山の山頂で、赤竜と交わった夢をみて身ごもったとある。伝説が浄瑠璃や浮世絵などの世俗芸術にとられ、その作品がまた民衆のイメージを育てている。箱根の金時山(猪鼻(いのはな)岳)の中腹には金太郎と山姥が住んだ石室があったという巨石がある。本来、各地にあった山姥が山中で子供を生んだという伝説の一つで、長野県には、木曽(きそ)の金時山(南岐蘇(なきそ)岳)に金時母子が住んだ岩屋があり、旧上水内(かみみのち)郡芋井(いもい)村(現長野市)の虫倉明神は、金時の母を祀(まつ)ると伝える。山中で生まれた英雄の物語は『曽我(そが)物語』真名(まな)本など室町時代の物語文学にもみえ、狩猟民が伝えた山の神が山中で出産する物語は、金太郎をはじめ、この種の山中誕生譚(たん)の原形をなすものである。
[小島瓔]
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金太郎【きんたろう】
足柄山の奥で山姥(やまうば)に育てられたという怪童。大江山の酒呑(しゅてん)童子退治に武功をたてた,源頼光四天王の一人坂田金(公)時の子供時代とされる。公時の名は《今昔物語集》などにも見えるが,物語の成立は室町時代。江戸時代には金時の子金平(きんぴら)を主人公とする金平浄瑠璃が流行。端午の節供には腹掛けをして鉞(まさかり)をかついだ金太郎が飾られる。
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金太郎
金太郎は、源頼光〔みなもとのよりみつ〕に仕えた坂田金時〔さかたのきんとき〕がモデルとなった話です。これまで紹介した物語と違い、実在の人物を讃える目的で誕生した物語ではないかと考えられています。一般的に知られている「力持ちの金太郎は山で熊と相撲をとっていた!」というお話の先には、金太郎が都会に出て出世していくというお話に繋がりますが、こちらはあまり知られていないようです。
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金太郎〔曲名〕
日本の唱歌の題名。作詞:石原和三郎、作曲:田村虎蔵。発表年は1900年。
金太郎〔魚の名〕
スズキ目ヒメジ科の海水魚、ヒメジの山口県周辺での呼び名。キンタロとも。
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世界大百科事典(旧版)内の金太郎の言及
【坂田金時】より
…これらでは坂田(酒田)という姓も明らかでない。近世に入って《前太平記》や《広益俗説弁》になって民譚的な金時あるいは金太郎の人物像に近づいてくる。この2書を総合すると,母の老嫗と足柄山中で生活していたのを,21歳のときに頼光に見いだされ,坂田公時と名付けられ,頼光に仕えて36歳のときに主馬佑として酒呑童子退治に参加し,一生妻女をもたず,頼光没後,行方をくらまし足柄山で足跡を絶ったという。…
※「金太郎」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
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