銜・啣・咥(読み)くわえる

精選版 日本国語大辞典 「銜・啣・咥」の意味・読み・例文・類語

くわ・える くはへる【銜・啣・咥】

〘他ア下一(ハ下一)〙 くは・ふ 〘他ハ下二〙
① 口に軽くはさんでささえ持つ。口にはむ。
源氏(1001‐14頃)梅枝「筆の尻くはへて、思ひめぐらし給へるさま、あくよなくめでたし」
太平記(14C後)一六「烏一番(ひとつがひ)杉の葉を一枚噛(クハヘ)て甲(かぶと)の上へぞ落しける」
② ひき連れる。身に従える。たずさえる。
浄瑠璃心中宵庚申(1722)下「気に入らいでいなした嫁、遠州もどりに在所へ寄りよふくはへて戻ったな」
芸妓が客をつかまえることを、花柳界でいう。〔隠語構成様式并其語集(1935)〕
[補注]室町時代頃から「くはゆ(る)」が使われたが、その例は「くわゆ」の項にあげた。→くわゆ

くわ・ゆ くはゆ【銜・啣・咥】

〘他ヤ下二〙 (ハ行下二段活用の「くはふ」から転じて、室町時代頃から用いられた。多く、終止形は「くはゆる」となる) =くわえる(銜)〔運歩色葉(1548)〕
日葡辞書(1603‐04)「クチニ ナンゾヲ cuuayuru(クワユル)

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報

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