改訂新版 世界大百科事典 「長井氏」の意味・わかりやすい解説
長井氏 (ながいうじ)
大江広元の第2子時広を始祖とする鎌倉幕府の有力御家人。時広は1218年(建保6)ころ鎌倉に下り,幕府に仕えて長井を称した。時広の長子泰秀の一流は,執権北条氏の信任を得,泰秀,宗秀,貞広,貞秀が関東評定衆に補任されている。第2子泰重の一流も泰重,頼重,貞重が六波羅評定衆に補任され,また備前,備後の守護職に補されている。かくして長井氏は関東譜代の重臣と称される勢力者となり,東大寺領美濃国茜部(あかなべ)荘地頭職をはじめとして多くの所領を有した。幕府滅亡後も建武政権に参加し,さらに室町幕府に仕え奉公衆に名をつらねているが,往年の勢威は失った。庶子家としては,泰重の第3子重広を祖とする田総(たふさ)氏,泰茂(時広の第5子)の第2子頼秀を祖とする福原氏などが分立し,田総・福原氏はともに備後の国人領主として勢力を有していたが,やがて戦国大名毛利氏の家臣団に編入され,重臣として厚遇された。
執筆者:小泉 宜右
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報