長官(読み)チョウカン

デジタル大辞泉 「長官」の意味・読み・例文・類語

ちょう‐かん〔チヤウクワン〕【長官】

最高裁判所や、文化庁金融庁など中央官署の外局などで、最高の官。
[類語]次官政務官事務次官事務官技官参事官

かみ【長官】

《「かみ」の意。人の上に立つ者というところから》律令制で、四等官しとうかん最上官位庁務を総括する責任者。「卿」「守」など官司により用字が異なる。→四等官

かん【長官】

かみ(長官)」の音変化。
大将も―の君もみなおり給ひて」〈・若菜上〉

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精選版 日本国語大辞典 「長官」の意味・読み・例文・類語

ちょう‐かんチャウクヮン【長官】

  1. 〘 名詞 〙
  2. 令制で、四等官の第一位。その官司の職務の全体を統轄するもの。官司によってその用字・称呼を異にする。ふつう、一人であるが、太政官および非常置の官司で複数の場合が見られる。かみ。〔令義解(718)〕 〔新唐書‐蕭至忠伝〕
  3. 現在では、内閣法制局、最高裁判所などのほか、文化庁、防衛庁などの官庁の長をいう。また、戦前軍隊、地方庁などにおいて、最高責任者を呼ぶ語としても用いられた。司令長官、地方長官など。
    1. [初出の実例]「巴礼(パレイ)囚れたりしが、敵の長官の深き全創を療治し」(出典:西国立志編(1870‐71)〈中村正直訳〉五)
  4. ( 「ちょうがん」とも ) 明治四年(一八七一)の神宮改革以前に、伊勢大神宮の禰宜(ねぎ)首位にある者をさした称号。禰宜は、内外両宮に各一員を置いた天武朝(六七三‐六八六)以後、漸次増員をみて、慶長・寛永(一五九六‐一六四四)頃には各一〇員となった。一禰宜、執印(しゅいん)官長とも呼んだ。
    1. [初出の実例]「万事はいせ山田をしこなし、庵など結候而、長官一家の洛中見物など取持候とて」(出典:曾良宛芭蕉書簡‐元祿七年(1694)閏五月二一日)

かみ【長官・守】

  1. 〘 名詞 〙
  2. 令制で四等官の一つ。中央、地方の長官の総称。その所属する官司の職掌を統率する責任者をいうが、官司によって文字を異にする。下に次官(すけ)判官(じょう)主典(さかん)がある。
    1. [初出の実例]「其れ長官(カミ)従者(ともならむひと)は九人」(出典:日本書紀(720)大化元年八月(北野本訓))
  3. ( 督 ) 明治新政府が慶応四年(一八六八)二月三日に設置した八局のうち、神祇事務局・内国事務局・外国事務局・軍防事務局・会計事務局・刑法事務局・制度事務局の長官。ただし、総裁局だけは総裁と称した。

かん【長官】

  1. 〘 名詞 〙 ( 「かみ」の変化した語 ) 令制で官司の長官をいう。「かんの君」「かんの殿」「かんの主(ぬし)」などの形で用いられる。

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「長官」の意味・わかりやすい解説

長官
かみ

令制の官司の第1位の官職。長官は官司の職務を統括し,その下に次官 (すけ) ,判官 (じょう) ,主典 (さかん) があって四等官を構成した。その官司によって文字を異にし,神祇官は伯,各省は卿,寮は頭,司は正,職は大夫,弾正台は尹,大宰府は帥,国司は守の字をあてた。

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山川 日本史小辞典 改訂新版 「長官」の解説

長官
かみ

律令官制の四等官の最上位。太政官では太政大臣・左右大臣をさし,神祇官は伯,八省は卿,弾正台(だんじょうだい)は尹,職・坊は大夫,寮は頭,司・監は正(内膳司は奉膳),署は首,家令は令,大宰府は帥(そち),国は守,郡は大領(小郡は領),五衛府は督(大宝令の兵衛府は率),軍団は大毅と表記された。定員は1人(内膳司は2人)。各官司の事務を統轄(惣判)する地位にあり,四等官制にもとづき次官以下と共同して執務を行った。押印は長官の監督下に行った。

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旺文社日本史事典 三訂版 「長官」の解説

長官
かみ

律令制下,四等官制の第1位。

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世界大百科事典(旧版)内の長官の言及

【四等官】より

…律令官制においては,各官司の主要な職員は,長官(かみ),次官(すけ),判官(じょう),主典(さかん)の4等級に分かれて職務を分掌した。これを四等官,四分(部)官という。…

【禰宜】より

…その定員は《延喜式》では内宮・外宮各1員と定めているが,その後逐次増員されて,1304年(嘉元2)以降10員となり現在に至っている。10員の禰宜は,その任叙の次第によって一禰宜,二禰宜などあるいは一神主,二神主などと呼ばれ,第一の者を長官(ちようがん)と称した。中世以降,神領の退転とともに大神宮司の行政力が弱まると同時に,長官の権能が増大し,神宮いっさいの事務および祭祀を管掌した。…

※「長官」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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