遮断機が下りたままで歩行者や車が通行できない状態が長時間続く踏切。電車の通過本数の多さや踏切が駅に近いことに起因することが多い。国土交通省では、ピーク時に、1時間当り40分以上遮断されている踏切を開かずの踏切と定義している。同省が2007年(平成19)に発表した踏切交通実態総点検の結果によると、全国にあるおよそ3万6000か所の踏切のうち、開かずの踏切は589か所、このうちの半数近くが東京都内に集中していた。また、開かずの踏切には分類されないものの、慢性的な交通渋滞を引き起こしているものや、歩道が狭いものを加えると、緊急に対策が必要な踏切は1960か所に上る。踏切は交通渋滞の大きな原因の一つであり、国の試算では、踏切待ち時間に起因する経済損失は年間約1兆5000億円、踏切遮断中の車のアイドリングによる二酸化炭素排出量は年間74万トンである。
毎年300件を超える事故が踏切で発生している。2005年3月には東武伊勢崎(いせさき)線竹ノ塚駅(東京都足立区)南側の踏切で、踏切保安係が誤って遮断機を手動で上げた際に電車が通り、はねられた通行人4人のうち2人が死亡するという事故が起きた。ここはピーク時には1時間のうち58分間も遮断される踏切であった。この踏切をなくすために、2013年2月から線路を高架化する工事が始まっている。国土交通省では開かずの踏切など、問題のある踏切を指定し、鉄道事業者と協議しながら、速効対策(歩道の拡幅や遮断時間を短縮する踏切設備の導入など)と、抜本対策(立体交差化などによる踏切の除去)を進めている。抜本的な対策は国と自治体、鉄道事業者が費用を分担して進めているが、数が多いうえに莫大(ばくだい)な費用がかかることや、用地買収や騒音問題などむずかしい問題があり、なかなか進まないケースが多い。
[編集部]
(平栗大地 朝日新聞記者 / 松村北斗 朝日新聞記者 / 2007年)
出典 (株)朝日新聞出版発行「知恵蔵」知恵蔵について 情報
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