開山(読み)カイサン

デジタル大辞泉 「開山」の意味・読み・例文・類語

かい‐さん【開山】

[名](スル)《寺を山に建て、寺が山号で呼ばれたところから》
仏寺を初めて開くこと。また、開いた僧。開基
一宗一派を初めて開いた僧。祖師開祖
ある物事創始者
達人は自ら法門を開く、僕も菊池流の茶の湯の―をしようと」〈蘆花思出の記
ある物事の権威者第一人者
「露に時雨両袖をぬれの―、高雄たかをが女郎盛りを見んと」〈浮・一代男・七〉
[類語]教祖開祖元祖始祖祖師教主

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精選版 日本国語大辞典 「開山」の意味・読み・例文・類語

かい‐さん【開山】

  1. 〘 名詞 〙
  2. ( 「山」を開いて寺を建てたところから ) はじめてある寺を建てること。また、その寺をはじめて開いた僧。開基。あるいは、各宗派の開祖のこと。
    1. [初出の実例]「東福の開山の座下にして」(出典:雑談集(1305)三)
  3. ( 比喩的に用いて ) ある物事の創始者。また、一流を創始すること。
    1. [初出の実例]「配祖考とは周は后稷が開山で」(出典:土井本周易抄(1477)二)
  4. その道の権威者。第一人者。
    1. [初出の実例]「露に時雨(しぐれ)に、両袖をぬれの開山(カイサン)高雄が女郎盛(ざかり)を見んと」(出典浮世草子好色一代男(1682)七)

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「開山」の意味・わかりやすい解説

開山
かいさん

寺院を開設した僧。もとは人跡未踏の山を開き、寺を建てた僧をさした。のちには山に限らず、新しく寺を創建した僧も開山とよぶ。開山には実際に寺を開いた創建開山と、高徳のゆえ請(こ)われてなる勧請(かんじょう)開山とがある。また衰えた寺を復興した僧を中興開山、準開山という。開山のための追善供養法要開山忌、開山の像や位牌(いはい)を祀(まつ)る建物を開山堂、祖師堂、御影堂(みえいどう)などという。また一宗を開いた人(開祖)をよぶこともある。

[永井政之]

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山川 日本史小辞典 改訂新版 「開山」の解説

開山
かいさん

もともとは寺院を建立すること。転じて一寺を開いた僧,すなわち寺院の初代住職をさし,寺院の経済的支持者である開基と区別。仏弟子の修行には閑静な地を選ぶ必要から,山地を開いて道場あるいは一寺を建立したのでこの名がある。さらに転じて,一宗を開いた高僧,宗祖・派祖も意味する。

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「開山」の意味・わかりやすい解説

開山
かいさん

一山や一寺を開創した僧侶のこと。開基,開祖ともいわれる。また一宗を開いた高僧も開山と呼ぶ。閑静な山中に土地を選び,山谷を切り開いて仏道修行道場あるいは一寺を建立することからこの名称がある。

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普及版 字通 「開山」の読み・字形・画数・意味

【開山】かいざん

開基。

字通「開」の項目を見る

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世界大百科事典(旧版)内の開山の言及

【開山・開基】より

…転じて宗派の開祖のことをもいい,これは宗派の開設が一般寺院の創建をともなったことによる。古くは閑静な地を選び,山谷を切り開いて堂宇を創建したので,開山と称した。鎌倉時代以後,寺号の上に山号を付すのはこのことによる。…

※「開山」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」