険悪(読み)けんあく

精選版 日本国語大辞典 「険悪」の意味・読み・例文・類語

けん‐あく【険悪】

〘名〙 (形動)
地勢がけわしくて悪いこと。また、そのさま。
病牀六尺(1902)〈正岡子規〉九三「我が草庵の門前は〈略〉随分嶮悪な小路で、冬から春へかけては泥濘高下駄を没する程で」 〔戦国策‐韓策・襄王〕
表情性質などがとげとげしくきびしいこと。けわしく恐ろしいこと。また、そのさま。
※帰去来(1901)〈国木田独歩〉一四「渋紙色をした顔は言ふべからざる凄味を帯び、其険悪(ケンアク)な毒々しい眼をぎょろぎょろさして」
③ 状態や雰囲気(ふんいき)などがきびしくあぶないこと。あぶなく、油断できないこと。また、そのさま。
※将来之日本(1886)〈徳富蘇峰〉三「抑も欧州の帝王宰相等は何の必要ありて此の如きの莫大なる常備兵を養ふか。〈略〉若しそれ必要ありとせば以て我社会は甚だ険悪なるを証す可く」

けん‐お ‥ヲ【険悪】

〘名〙 (形動) =けんあく(険悪)

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報

デジタル大辞泉 「険悪」の意味・読み・例文・類語

けん‐あく【険悪】

[名・形動]
表情や性質がとげとげしくなること。また、そのさま。「険悪な顔つき」
状況などが悪化して油断ができないこと。また、そのさま。「険悪空模様」「両国関係険悪になる」
[派生]けんあくさ[名]
[類語]険しい不穏際どい物騒危険危難危機危殆きたい危地虎口ここうピンチ剣呑けんのん危ないやばいきな臭い呉越同舟一触即発風前のともしび薄氷をふむ風雲急を告げる

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

普及版 字通 「険悪」の読み・字形・画数・意味

【険悪】けんあく

地勢がけわしく、せた地。〔史記張儀伝〕(張儀)韓王にきて曰く、韓は地、險惡山居。五の生ずる(豆)に非ずんば麥なり。

字通「険」の項目を見る

出典 平凡社「普及版 字通」普及版 字通について 情報

今日のキーワード

脂質異常症治療薬

血液中の脂質(トリグリセリド、コレステロールなど)濃度が基準値の範囲内にない状態(脂質異常症)に対し用いられる薬剤。スタチン(HMG-CoA還元酵素阻害薬)、PCSK9阻害薬、MTP阻害薬、レジン(陰...

脂質異常症治療薬の用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android