雑魚寝(読み)ザコネ

デジタル大辞泉 「雑魚寝」の意味・読み・例文・類語

ざこ‐ね【雑魚寝/居寝】

[名](スル)
大勢の人が雑然と入り交じって寝ること。
節分の夜などに、村の老若男女神社などに集まって共寝した風習 冬》
[類語]共寝同衾添い寝ごろ寝

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

改訂新版 世界大百科事典 「雑魚寝」の意味・わかりやすい解説

雑魚寝 (ざこね)

おおぜいの男女一堂に集まって,雑魚(ざこ)のように入りまじって寝る風習をいう。年越しの夜,宵宮(よみや)や季節の変り目行事におけるおこもりの際に行われた。西鶴《好色一代男》(1682)に〈今宵は大原の里の雑魚寝とて〉と記されて名高い大原(おはら)の雑魚寝は,京都大原の江文(えぶみ)神社の拝殿でかつては節分の夜に行われた。宵宮は今では本祭の前夜祭のように考えられているが,本来祭りは神の降臨する真夜中に行われた。東京都府中市の大国魂(おおくにたま)神社の5月5日の例祭暗闇(くらやみ)祭と称されるのは,神輿渡御の際,その道筋の家々が灯を消したことによる。宇治市の県(あがた)神社の県祭は6月5日(かつては5月5日)から6日の未明にかけて行われるが,梵天に神移しの儀が執り行われた後はいっさいの灯火が禁じられる。沿道の家々では男女が雑魚寝してお渡りを待ち,性的な行いも伴うので,種もらい祭ともいわれた。静岡県伊東市の音無神社の尻摘(しりつみ)祭として知られる11月10日の例祭は,暗やみのなかで祭典が行われ,神酒の杯を回すときに尻をつねって合図するのでこの名がある。一般におこもりと呼ばれる参籠は,修行僧などが堂宇にこもって神仏祈願をこめる風習で,9世紀末から10世紀にかけて始まった。祭りの場でのおこもりは共同祈願のための物忌に服する忌籠(いみごもり)の祭りであったのが,後に暗やみに乗じて性的行事を伴ったものである。
執筆者:

出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「雑魚寝」の意味・わかりやすい解説

雑魚寝
ざこね

大勢の男女が入り交って雑魚のように寝ること。関西花街で客と芸妓などが1室に寝ることをいったことから始った。大和の十津川 (奈良県) や山城の大原 (京都府) などでは,定日に一定の場所に男女が枕席をともにする民間習俗をいう。

出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報

今日のキーワード

排外主義

外国人や外国の思想・文物・生活様式などを嫌ってしりぞけようとする考え方や立場。[類語]排他的・閉鎖的・人種主義・レイシズム・自己中・排斥・不寛容・村八分・擯斥ひんせき・疎外・爪弾き・指弾・排撃・仲間外...

排外主義の用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android