デジタル大辞泉
「震」の意味・読み・例文・類語
しん【震】
易の八卦の一。算木での形に表す。雷にかたどり、陽気がようやく動き出そうとする象を示す。季節では春、方位では東に配する。
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ふる・う ふるふ【震】
[1] 〘自ハ四〙 (「ふるう(振)」と同語源)
① こきざみにゆれ動く。震動する。
※金光明最勝王経音義(1079)「揺〈布流布〉」
② 鳴りひびく。とどろきわたる。鳴りわたる。鳴動する。
※
古事記(712)序「六師は雷のごとく震
(ふる)ひて、三軍は電のごとく逝きき」
③ 恐ろしさや寒さなどで身体や声が小きざみにゆれ動く。わななく。おののく。
戦慄(せんりつ)する。また、いきどおりのため、身体がぶるぶるとする。
※霊異記(810‐824)上「時に男女
余人、皆其の難に遭ひ、身単
(フルヒ)心慄り、憑恃む所無し〈興福寺本訓釈 単 不留比〉」
※
小学読本(1874)〈
榊原・
那珂・
稲垣〉五「其娘はちぎれたる解き物の単一ツ身に纏ひて凍え戦ひ居たるを見て」
※
仮名草子・
竹斎(1621‐23)下「侍の有けるが、おこりをこそはふるひけれ」
しん【震】
〘名〙
① 易の八卦の一つ。算木で
にかたどる。また
六十四卦の一つ、
。雷を表わし、万物が初めて動き出すさまを示す。方角では卯
(う)、すなわち正東に当たる。
※
浄瑠璃・関八州繋馬(1724)一「震の卦を下にし、離の卦を上にす」 〔易経‐説卦〕
※
性霊集‐四(835頃)奉賀天長皇帝即位表「乗
レ時出
レ震、双瞳八彩、揖譲相推」
ふる・える ふるへる【震】
〘自ア下一(ハ下一)〙 ふる・ふ 〘自ハ下二〙
① ゆれ動く。震動する。
※めぐりあひ(1888‐89)〈二葉亭四迷訳〉一「落ちた木枝にかき乱されて水の
波動(フルヘ)るやうに」
②
恐怖、寒さ、
緊張などで身体や声が小きざみに動く。わななく。おののく。
※仮名草子・
可笑記(1642)二「いかばかりおそろしく、身ふるへてあやふかりけれども」
③
痙攣(けいれん)する。瘧
(おこり)などの発作が起こる。
※小学読本(1873)〈
田中義廉〉一「今は、足も震へるゆゑに、
小児の肩に
りて」
ふるい ふるひ【震】
※仮名草子・竹斎(1621‐23)下「起の渡り越えければ、濡れ渡りたる
萩原の、ふるひの立や
一の宮」
※
病院の窓(1908)〈
石川啄木〉「顫ひを帯びて怖々
(おづおづ)した声で」
② 瘧
(おこり)や
胃痙攣(いけいれん)などのために発作的に起こる震えや痙攣。
※
浮世草子・
日本永代蔵(1688)五「首引ぬいても今取といはれしを聞れましてから、亭主は震
(フルヒ)つかれまして」
ふ・る【震】
〘自ラ四〙 (「ふる(振)」と同語源)
① ゆれる。大地や波・風などがゆれ動く。ふるう。ゆらめく。震動する。
※書紀(720)允恭五年七月(図書寮本訓)「丙子の朔己丑に、地(なゐ)震(フル)」
② 振動してその方向を示す。ゆれ動いて一定の方角をさし示す。
※浮世草子・好色二代男(1684)八「才覚なる男懐中せし方角見を取出し、此釼先の振(フル)方へ御趣向と申」
ふるえ ふるへ【震】
〘名〙 (動詞「ふるえる(震)」の連用形の名詞化) ふるえること。特に身体や声が寒さや恐怖、または感動などでふるえること。わななくこと。ふるい。
※いさなとり(1891)〈幸田露伴〉五八「後を確(しか)と閉よと云ふ言葉に慄(フル)への気味あり」
ふるわ・す ふるはす【震】
〘他サ五(四)〙 小刻みに揺り動かす。ふるえるようにする。
※浮世草子・好色一代男(1682)五「身をふるはして前後を忘れ」
出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報
震
八卦の一つ。一番下だけが陽爻のもの。自然界では「雷」、卦徳は「動」、人では「長男」、属性は「木」、身体では「足」、易数は「4」、方角では「東」をあらわす。
出典 占い学校 アカデメイア・カレッジ占い用語集について 情報
世界大百科事典(旧版)内の震の言及
【易】より
…左の掌中にある筮竹を右手で8本ずつ除去していき,小指の分も入れて残りが8本以内になったらやめる。残りが1本なら☰乾(けん)(天),2本なら☱兌(だ)(沢),3本なら☲離(火),4本なら☳震(雷),5本なら☴巽(そん)(風),6本なら☵坎(かん)(水),7本なら☶艮(ごん)(山),8本なら☷坤(こん)(地)。これで内卦(六爻(こう)の下半分)が得られた。…
※「震」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」