非業(読み)ヒゴウ

デジタル大辞泉 「非業」の意味・読み・例文・類語

ひ‐ごう〔‐ゴフ〕【非業】

[名・形動]
仏語前世業因によらないこと。
前世の善因を受けないこと。また、そのさま。「非業な(の)死」
天罰のがれ難く斯る―を遂げました」〈円朝怪談牡丹灯籠
運に恵まれないでみじめなこと。また、そのさま。
「―な暮らしをして居やす」〈伎・三題噺魚屋茶碗
[類語]不慮不測不覚

ひ‐ぎょう〔‐ゲフ〕【非業】

平安時代諸国博士医師うち式部省試験に合格せず、博士の推挙なしに任用された者。

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

精選版 日本国語大辞典 「非業」の意味・読み・例文・類語

ひ‐ごう ‥ゴフ【非業】

〘名〙
① 仏語。前世の業因によらないこと。業因によって定まっていない果のこと。特に、業因による寿命を全うしないで死ぬ非命業をいう。
正倉院文書‐天平勝宝八年(756)六月二一日・東大寺献薬帳「服此薬者、万病悉除、千苦皆救、諸善成就、諸悪断却、自非業道、長無夭折」 〔順正理論‐三五〕
道理に合わないこと。
浄瑠璃・女殺油地獄(1721)下「親仁殿にひごうのかねを出さするがせうしさに」
③ (形動) 前世の善因を受けないこと。悪い運の下にあること。また、そのさま。
※歌舞伎・恋慕相撲春顔触(1872)序幕「所詮ひがふな此のわしはあの若殿には叶はぬわいの」
④ (形動) (非豪) 運に恵まれないでみじめなこと。また、そのさま。
※人情本・郭の花笠(1836)二「ふん播磨屋か、非豪(ヒガウ)だの」
※仮名草子・身の鏡(1659)下「定業を逃るべきにはあらず。非業(ヒガウ)をば逃るべきか」

ひ‐ぎょう ‥ゲフ【非業】

〘名〙
① 平安時代、諸国の博士・医師の出身による地位種別一つ。式部省の試験に合格せず、博士の推挙なしに任用される地位。また、その地位の人。非受業。
三代実録‐貞観四年(862)三月二〇日「凡非業之輩、皆責解由
怪談牡丹燈籠(1884)〈三遊亭円朝〉二〇「悪事をした天罪のがれ難く斯る非業(ヒゲフ)を遂ました」

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普及版 字通 「非業」の読み・字形・画数・意味

【非業】ひごう

悪運、非命。

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