音丸耕堂(読み)おとまるこうどう

日本大百科全書(ニッポニカ) 「音丸耕堂」の意味・わかりやすい解説

音丸耕堂
おとまるこうどう
(1898―1997)

漆芸(しつげい)家。本名芳雄。高松市に生まれる。初め石井磬堂(けいどう)の門で木彫彫漆(ちょうしつ)の技術を習得。高松で江戸時代末期に活躍した玉楮象谷(たまかじぞうこく)の作品を模作しながら彫漆技術を身につけた。のち上京して作家活動を行い、1942年(昭和17)第5回文展で特選を受賞。多彩な色漆(いろうるし)を重ねた層に、現代風を取り入れた意匠を彫り込んだ彫漆作品で新分野を開拓し、漆芸界に新風をもたらした。55年重要無形文化財「彫漆」の保持者に認定された。82年後進の育成に寄与すべく「公益信託音丸漆芸研究奨励基金」を設立。88年東京池袋の西武アートフォーラムで「音丸耕堂鳩寿(きゅうじゅ)記念回顧展」、94年(平成6)東京国立近代美術館工芸館で「現代の彫漆(音丸耕堂一門13名の展覧会)」が開催された。97年9月8日肺炎のため死去

[郷家忠臣]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

デジタル版 日本人名大辞典+Plus 「音丸耕堂」の解説

音丸耕堂 おとまる-こうどう

1898-1997 大正-昭和時代の漆芸作家。
明治31年6月15日生まれ。石井磬堂(けいどう)に讃岐(さぬき)彫をまなぶ。のち江戸後期の漆工玉楮象谷(たまかじ-ぞうこく)に私淑(ししゅく)し彫漆を研究。昭和17年新文展で「漆月之花手筥」が特選。30年彫漆で人間国宝。平成9年9月8日死去。99歳。香川県出身。旧姓木村。本名は芳雄。代表作に「彫漆椿文手箱」。

出典 講談社デジタル版 日本人名大辞典+Plusについて 情報 | 凡例

今日のキーワード

焦土作戦

敵対的買収に対する防衛策のひとつ。買収対象となった企業が、重要な資産や事業部門を手放し、買収者にとっての成果を事前に減じ、魅力を失わせる方法である。侵入してきた外敵に武器や食料を与えないように、事前に...

焦土作戦の用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android