馬糞紙（読み）バフンシ

デジタル大辞泉

ばふん‐し【馬^×糞紙】

わらなどを原料とした黄色い粗悪なボール紙。

出典　小学館

精選版 日本国語大辞典

ばふん‐し【馬糞紙】

〘名〙

① 紙の名。下等な唐紙の一種で、上包み、または裏うち紙に用いたものという（紙譜（1777））。〔運歩色葉（1548）〕

② (色や繊維が馬糞に似ているところからいう) ボール紙の一種。藁(わら)などを原料とした、黄茶色の厚い紙。本の表紙や紙箱などの心(しん)に用いる。

※多情仏心（1922‐23）〈里見弴〉初雪の夜「馬糞紙の色に揺れ騰る煙の下から」

出典　精選版 日本国語大辞典

日本大百科全書(ニッポニカ)

馬糞紙
ばふんし

麦藁(わら)などを原料とした質の悪い厚紙のこと。馬糞紙というのは外観からの連想による名前で、一般にはボール紙とよばれ、板紙として紙箱や書物の表紙の材料とされる。1777年（安永6）刊の木村青竹(せいちく)編『新撰紙鑑(しんせんかみかがみ)』には、すでに1548年（天文17）に成立していた辞書『運歩色葉集(うんぽしきようしゅう)』にこの紙名があるとしているが、その由来や紙質などについての詳細は不明である。

［町田誠之］

出典　小学館　日本大百科全書(ニッポニカ)