馬鹿(読み)バカ

デジタル大辞泉 「馬鹿」の意味・読み・例文・類語

ばか【馬鹿/××迦】

[名・形動]《〈梵〉mohaの音写。無知の意。「馬鹿」は当て字
知能が劣り愚かなこと。また、その人や、そのさま。人をののしっていうときにも用いる。あほう。「―なやつ」⇔利口
社会的な常識にひどく欠けていること。また、その人。「役者―」「親―」
つまらないこと。無益なこと。また、そのさま。「―を言う」「―なまねはよせ」
度が過ぎること。程度が並はずれていること。また、そのさま。「―に風が強い」「―騒ぎ」「―正直」
用をなさないこと。機能が失われること。また、そのさま。「蛇口が―で水が漏れる」→馬鹿になる2
[補説]元来は相手をののしる言葉であるが、相手に対する思いやり、親しみ・愛情の気持ちを込めて用いることもある。「―だな。そんなに思いつめなくていいのに」など。また、「―! あきらめるな」のように、否定批判などの意で、感動詞的にも用いられる。
[派生]ばかさ[名]
[用法]馬鹿・阿呆あほう――「馬鹿」のほうが広い地域で使われ、意味の範囲も広い。「馬鹿に暑い」「馬鹿正直」「このネジは馬鹿になっている」のような意は「阿呆」にはない。◇「馬鹿」は関東で、「阿呆」は関西で多く使われる。
[類語](1阿呆あほう魯鈍ろどん愚鈍無知蒙昧もうまい愚昧ぐまい愚蒙ぐもう暗愚頑愚愚か薄のろ盆暗ぼんくらまぬけとんまたわけ馬鹿者馬鹿野郎馬鹿たれ与太郎抜け作おたんこなすおたんちんあんぽんたんべらぼうあほんだら頓痴気木偶でくの坊唐変木表六玉表六いかれぽんちぼけなすろくでなし脳足りん出来損ない頓珍漢すっとこどっこい/(3愚か愚かしい馬鹿らしい馬鹿馬鹿しい阿呆らしい下らない愚劣無思慮ぶしりょ無考え浅はか浅薄せんぱく軽はずみ軽率浅浅浅浅しい軽薄浮薄単純軽佻笑止千万馬鹿臭い詰まらない阿呆臭い馬鹿げる笑い事笑止片腹痛い噴飯物噴飯笑い大笑い高笑い哄笑爆笑呵呵大笑抱腹絶倒笑い崩れる笑いける笑い転げる吹き出す腹の皮をよじ腹の皮を腹を抱える御中おなかを抱えるおとがいを解く愚にも付かぬへそで茶を沸かすへそ茶聞いてあきれるちゃんちゃらおかしい/(4随分かなり相当なかなか大分だいぶ・だいぶん大層すこぶいやにやけにえらい余程余っ程比較的割と割に割りかし割方割合結構大幅

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精選版 日本国語大辞典 「馬鹿」の意味・読み・例文・類語

ばか【馬鹿・莫迦・破家】

  1. 〘 名詞 〙 ( 「馬鹿」はあて字。梵語の moha =慕何(痴)、または mahallaka =摩訶羅(無智)の転で、僧侶隠語として用いたことによるという )
  2. ( 形動 ) 知能が劣り愚かなこと。また、そのさまやその人。あほう。〔文明本節用集(室町中)〕
    1. [初出の実例]「女郎まじりの大踊、みるから此身は馬鹿(バカ)となって」(出典:浮世草子・好色一代男(1682)五)
  3. ( 形動 ) 取るに足りないつまらないこと。無益なこと。また、常軌を逸したことやそういうさまをいう。たわけ。
    1. [初出の実例]「いつまでも馬鹿(バカ)止ねへはな」(出典:滑稽本浮世床(1813‐23)初)
  4. 本来のはたらきを果さない状態。当然持っているはずの機能がはたらかない状態。「鍵がバカになる」→ばかになる
  5. 程度のはなはだしいこと。多く名詞の上に付けて接頭語的に用いる。「馬鹿騒ぎ」「馬鹿力」など。→ばか(馬鹿)に
    1. [初出の実例]「馬鹿(バカ)忍耐の強い男だ」(出典:当世書生気質(1885‐86)〈坪内逍遙〉一二)
  6. ばかがい(馬鹿貝)」の略。
    1. [初出の実例]「かくのごとくの丸裸、馬鹿(バカ)のむき身と笑れて」(出典:談義本・風流志道軒伝(1763)四)
  7. 銭の数をはかる用具。二対一の長さのクランク型の金属製の棒で、長い方で一〇〇文を、短い方で五〇文を数える。
    1. [初出の実例]「まったりとばかときせるでしんを切り」(出典:雑俳・川柳評万句合‐明和六(1769)梅三)
  8. 釣竿よりも糸を長くすること。また、その長い部分。

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報 | 凡例

普及版 字通 「馬鹿」の読み・字形・画数・意味

【馬鹿】ばろく

馬を鹿という。人をためす。〔史記、秦始皇紀〕趙高、亂を爲さんと欲し、群臣の聽かざるをる。乃ち先づ驗を設け、鹿を持して二世に獻じて曰く、馬なりと。二世笑ひて曰く、丞相れるか。鹿を謂ひて馬と爲すと。左右に問ふ。左右或いは默し、或いは馬と言ひ、以て趙高に阿(おもね)り順ふ。

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出典 平凡社「普及版 字通」普及版 字通について 情報

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