骨腫瘍とは骨に発生する腫瘍であり、良性と悪性とに分けられます。非常に多くの種類がありますが、子どもに発生する代表的な骨腫瘍として、悪性では
骨肉腫は悪性の骨腫瘍のなかで一番多く、10代にそのほとんどが発生します。発生する部位は
一刻も早く整形外科を受診する必要があります。抗がん薬による治療をなるべく早く始める必要があるからです。診断にはX線検査、CT検査、MRI検査、血管造影、シンチグラフィなどを用いますが、病巣部の細胞を取って顕微鏡でその細胞の種類を見る生検検査が最も重要です。
治療は通常、先ほど述べた抗がん薬による治療を行って骨肉腫を小さくしたあとに、手術によってそれを取り除き、術後にも抗がん薬を注射するという方法が用いられます。現在では脚や腕を切断することは少なくなりましたが、進行した例ではやむをえない場合もあります。
手術のあとにも抗がん薬を注射する理由は、血管のなかに入り込んだ可能性のある骨肉腫の細胞を殺すためです。これらの細胞が残っていると肺などに転移を起こすことになります。抗がん薬は吐いたり毛が抜けるなどの副作用がありますが、医療の進歩によって60~70%は治る病気になってきました。いずれにしても整形外科腫瘍専門医による治療が必要な病気です。
湏藤 啓広
出典 法研「六訂版 家庭医学大全科」六訂版 家庭医学大全科について 情報
骨を侵す腫瘍には、骨組織そのものから発生する原発性骨腫瘍と、他の臓器の悪性腫瘍の転移による転移性骨腫瘍とがある。原発性骨腫瘍には良性のものと悪性のものがある。原発性の良性骨腫瘍としては、軟骨性外骨腫(骨軟骨腫)や内軟骨腫などがある。悪性骨腫瘍としては、骨肉腫とよばれる骨原性肉腫、軟骨肉腫、ユーイングEwing肉腫などがあげられる。骨髄腫は多発性で、全身病である。また骨巨細胞腫には良性と悪性のものがある。転移性骨腫瘍の代表的なものは骨転移癌(がん)である。
[永井 隆]
一般に長管状骨の骨腫瘍では、患部の腫脹(しゅちょう)を主訴として受診することが多い。悪性腫瘍では疼痛(とうつう)を伴う。また、病的骨折をおこして受診することもある。骨腫瘍による腫脹は炎症性の腫脹とは異なり、発赤や熱感はないか、あっても軽度であるのが普通であるが、骨肉腫では明らかなことがあり、動脈の拍動を伴うことがある。疼痛も炎症性のものに比べると一般に軽いが、腫瘍が神経を圧迫すると頑固な神経痛をおこす。良性骨腫瘍では全身状態は障害されないが、悪性骨腫瘍の場合は全身状態が侵されて末期には悪液質に陥る。
[永井 隆]
良性骨腫瘍では、腫瘍が腱(けん)や筋の動きを妨げたり神経を圧迫している場合は腫瘍を切除する。原発性の悪性骨腫瘍は、早期に腫瘍を完全に切除するか四肢を切断して化学療法を行うことが望まれる。転移は肺に生ずることが多く、転移性骨腫瘍も含めて悪性骨腫瘍の治療成績はよくない。
[永井 隆]
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