高次構造(読み)コウジコウゾウ(その他表記)higher order structure

デジタル大辞泉 「高次構造」の意味・読み・例文・類語

こうじ‐こうぞう〔カウジコウザウ〕【高次構造】

たんぱく質などの生体高分子一次構造に対して、二次三次四次構造のこと。

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「高次構造」の意味・わかりやすい解説

高次構造
こうじこうぞう
higher order structure

蛋白質核酸など,高分子化合物の分子構造概念の一つ。構成原子の共有結合を表したのが最も基本的な一次構造であるのに対し,構成原子の相対位置を表す構造をまとめて高次構造という。 (1) 蛋白質の高次構造 蛋白質の一次構造とはアミノ酸配列のことをいう。一次構造で規定される長い鎖状分子が局部的にとるαヘリックス (螺旋) ,β構造 (プリーツシート) といった規則的な繰返し構造や,規則性はないが安定なループコイルターンなどの立体構造 (コンホメーション) が二次構造。二次構造の相対的な配置を含め分子全体の空間構造を三次構造,蛋白質が数個のサブユニットから成る場合はサブユニットの相互関係を四次構造という。蛋白質の性質 (酵素の活性など) は高次構造が完成しないと発揮されない。高次構造を保つのはアミノ酸同士の水素結合ファンデルワールス力,疎水相互作用なので,アミノ酸配列が高次構造を決めると考えられてきた。しかし最近は,正しい高次構造をとるのに他の蛋白質 (シャペロニンなど) の働きが必要な例もみつかっている。 (2) 核酸の高次構造 核酸の一次構造とは,ヌクレオチドの配列順序をいう。リボ核酸 (RNA) の二次構造は分子内二重螺旋構造,ループ構造,不規則構造などをさす。転位 RNA(tRNA)は分子内の塩基対が最大となるように折れ曲ってクローバー型二次構造をとる。これが立体的にコンパクトな高次構造をとり,蛋白質合成で重要な役割を果す。デオキシリボ核酸 (DNA) の二重螺旋も高次構造の一つ。B型 (最も基本的な右巻螺旋。一巻のピッチ 33Å) ,A型 (右巻,ピッチ 25Å) ,Z型 (左巻,ピッチ 46Å) などがあり,一つの分子内でも局所的にはこれらが混在する。

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化学辞典 第2版 「高次構造」の解説

高次構造(高分子の)
コウジコウゾウ
high order structure

タンパク質などの天然高分子合成高分子において,長い分子鎖が構築する凝集構造全体をいう.高分子は,モノマー分子の繰返し単位が長く連なった化学構造で構築されている.たとえば,タンパク質では,20種類のアミノ酸がペプチド結合でつながり,特定の順序で配列している.合成高分子では,重合時に分子鎖の化学構造(たとえば,立体規則性,シス-トランス配位など)が決まってしまい,高分子が分解しないかぎり構造は変化しない.このような構造を一次構造とよぶ.高分子鎖中に含まれる官能基による相互作用(水素結合など)によって,1本の高分子鎖がとる形態が決まる.たとえば,タンパク質では,ヘリックス構造,β構造などがあり,これらの構造を二次構造とよぶ.さらに,1本の高分子鎖全体が構築する構造があり,三次構造とよばれている.たとえば,タンパク質では,分子間相互作用により特定の分子鎖が折りたたまれた構造をとる.合成高分子では,半結晶性(100% 結晶化していない)であり,結晶領域と非晶領域の2相から構築されており,高次構造とよばれている.また,二次構造以上を高次構造とよぶ場合もある.


高次構造(タンパク質の)
コウジコウゾウタンパクシツノ
higher-order structure of protein

[同義異語]タンパク質の構造の【Ⅴ】

出典 森北出版「化学辞典(第2版)」化学辞典 第2版について 情報

栄養・生化学辞典 「高次構造」の解説

高次構造

 タンパク質や核酸について,前者ではペプチド鎖のアミノ酸配列を,後者ではポリヌクレオチド鎖のヌクレオチド配列を一次構造というのに対して,それらが折れ曲がったりして立体構造を形成している構造.

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