鳥尾小弥太(読み)トリオコヤタ

デジタル大辞泉 「鳥尾小弥太」の意味・読み・例文・類語

とりお‐こやた〔とりを‐〕【鳥尾小弥太】

[1848~1905]軍人・政治家陸軍中将。長門の人。反欧化主義立場から谷干城らと保守中正派を結成

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「鳥尾小弥太」の意味・わかりやすい解説

鳥尾小弥太
とりおこやた
(1847―1905)

明治時代の軍人。陸軍中将。子爵。号は得庵(とくあん)。弘化(こうか)4年12月5日長州藩士中村敬義の長男に生まれ、のちに鳥尾姓を名のる。奇兵隊に入って戊辰(ぼしん)戦争に従軍。1870年(明治3)陸軍に入り、陸軍省軍務局長、陸軍少輔(しょうゆう)、同大輔(たいふ)、参謀局長、近衛(このえ)都督などの要職歴任廃藩置県や西南戦争に功績をあげたが、山県有朋(やまがたありとも)ら陸軍の長州閥主流と相いれず、1880年軍職を退いた。その後、統計院長、元老院議官、枢密顧問官貴族院議員などを務めたが、その間1888年には保守党中正派を結成、雑誌『保守新論』を発刊するなど反政府的立場にたつことが多かった。明治38年4月13日死去。

鳥海 靖]

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朝日日本歴史人物事典 「鳥尾小弥太」の解説

鳥尾小弥太

没年:明治38.4.13(1905)
生年:弘化4.12.5(1848.1.10)
明治期の陸軍軍人,政治家。号は得庵。長州(萩)藩士中村敬義の長男。乱暴,剽悍 のため父母から放逐,自ら鳥尾と名乗る。安政5(1858)年江川太郎左衛門の門下となり,文久3(1863)年奇兵隊に入る。戊辰戦争では鳥尾隊を編成して各地に転戦した。明治3(1870)年紀州(和歌山)藩の兵制改革を担当したあと兵部省に出仕。4年陸軍少将,陸軍省軍務局長などを経て,7年大阪鎮台司令長官。9~11年参謀局長。西南戦争(1877)では行在所陸軍事務取扱として兵站輜重を担当した。12~13年近衛都督となるが出仕せず,14年開拓使官有物払下げ事件が起こると,谷干城らと払下げの再議,「国憲創立議会」の開設を建白,以後藩閥批判の立場を強めた。15~18年内閣統計院長,19~20年ヨーロッパに出張,21年には日本国教大道社を設立して保守中正派を組織した。22年大隈重信外相の条約改正案に反対して,「大審院における外国人判事の任用は憲法違反」と非難,大隈に辞職を勧告,また民間の反対集会に参加したため戒諭された。23~28年貴族院議員。

(田浦雅徳)

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百科事典マイペディア 「鳥尾小弥太」の意味・わかりやすい解説

鳥尾小弥太【とりおこやた】

明治の軍人,政治家。長州藩士。戊辰戦争では各地を転戦し,1870年兵部省に出仕,以後,陸軍中将,近衛都督に進んだが病気退職。1888年枢密顧問官。1889年条約改正中止と反欧化主義を唱え,谷干城佐佐木高行らと保守中正派を結成,《保守新論》を創刊,反伊藤博文派として行動。1890年貴族院議員。→欧化主義

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改訂新版 世界大百科事典 「鳥尾小弥太」の意味・わかりやすい解説

鳥尾小弥太 (とりおこやた)
生没年:1847-1905(弘化4-明治38)

明治期の軍人,政治家。長州藩士。得庵と号する。尊攘運動に参加し,戊辰戦争では鳥尾隊を率いて各地に転戦。1870年(明治3)兵部省に出仕,翌年陸軍少将となり兵学頭を兼ねる。次いで軍務局長,大阪鎮台司令長官,陸軍大輔,参謀局長,近衛都督,統計院長を歴任し,88年枢密顧問官となったが,病のため90年に退職した。88年には谷干城(たてき),佐々木高行らと保守的な中正党を組織し,機関誌《保守新論》を発刊して反伊藤博文派として行動した。《得庵全書》上下(1911-34)がある。
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デジタル版 日本人名大辞典+Plus 「鳥尾小弥太」の解説

鳥尾小弥太 とりお-こやた

1848*-1905 明治時代の軍人,政治家。
弘化(こうか)4年12月5日生まれ。もと長門(ながと)(山口県)萩(はぎ)藩士。明治3年兵部省にはいり,大阪鎮台司令長官,近衛都督などをつとめ13年陸軍中将で退職。21年保守党中正派を組織し,機関誌「保守新論」を発行した。枢密顧問官,貴族院議員。明治38年4月13日死去。59歳。本姓は中村。名は敬高(孝)。号は得庵。

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