鳴海仙吉(読み)ナルミセンキチ

デジタル大辞泉 「鳴海仙吉」の意味・読み・例文・類語

なるみせんきち【鳴海仙吉】

伊藤整長編小説。終戦直後の文芸評論家、鳴海仙吉の思想生活を詩・小説・評論などの形式で表現する。昭和25年(1950)刊行

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

改訂新版 世界大百科事典 「鳴海仙吉」の意味・わかりやすい解説

鳴海仙吉 (なるみせんきち)

伊藤整の長編小説。1946-48年(昭和21-23),諸雑誌に独立に発表された短編をまとめて,50年細川書店刊。終戦直後,家族と離れて疎開先の北海道の郷里にひとりで居残っている中年の文学者鳴海仙吉の思想と心情と行動を,J.ジョイスにならって詩,小説,評論,戯曲などのさまざまな形式で描く。物語的部分では,むかし詩人時代に郷里で知り合った姉妹が,それぞれ夫と別れて同時に仙吉の前に姿をあらわす。仙吉は相次いでふたりと関係を持ち,天使のように純粋な妹を自殺に追いやってしまう。詩と20世紀小説の方法と私小説の効果をたくみに総合した戦後の知識人文学の代表作である。
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出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報

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