黄金(読み)コガネ

デジタル大辞泉 「黄金」の意味・読み・例文・類語

こ‐がね【黄金/金】

《「くがね」の音変化》
きん。おうごん。→あかがねくろがねしろがね
大判小判などの金貨
黄金色」の略。
[類語]黄金おうごん金銀純金十八金金塊砂金金粉ゴールド

おう‐ごん〔ワウ‐〕【黄金】

こがね。きん。「黄金仏像
金銭。貨幣。特に、大判の金貨。「黄金崇拝」
価値のある貴重なもの。「黄金の日々」「黄金の脚」
[類語]黄金こがね金銀純金十八金金塊砂金金粉ゴールド

き‐がね【黄金】

黄金こがねのこと。近世、特に大判小判をさす。
「都の人に―八十枚にしろなしてより」〈浮・織留・二〉

く‐がね【黄金】

きん。こがね。
しろかねも―も玉も何せむに優れる宝子にしかめやも」〈・八〇三〉

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

精選版 日本国語大辞典 「黄金」の意味・読み・例文・類語

こ‐がね【黄金・金】

  1. 〘 名詞 〙 ( 「くがね」の変化した語 )
  2. きん。おうごん。きがね。
    1. [初出の実例]「韓郷(からくに)の嶋(しま)には 是(これ)、金(コカネ)(しろかね)(あ)り」(出典:日本書紀(720)神代上(兼方本訓))
  3. 金の貨幣の総称。大判。小判。金貨。
    1. [初出の実例]「すてやらでいのちをこふる人はみなちぢのこがねをもてかへるなり」(出典:山家集(12C後)中)
  4. こがねいろ(黄金色)」の略。
    1. [初出の実例]「その山のそばひらを巡れば、世の中になき花の木共たてり。金・銀・瑠璃色の水、山より流れ出でたる」(出典:竹取物語(9C末‐10C初))
  5. こがね(黄金)の泥(でい)」の略。
    1. [初出の実例]「四部には、色々の色紙に、こがね白銀まぜてかかせ給ひて」(出典:落窪物語(10C後)三)
  6. 落雁の一種で、黄金色をしたもの。名古屋の名物菓子で、鯱(しゃちほこ)の形に焼き上げ、金城の名にちなんで名付けたもの。

おう‐ごんワウ‥【黄金】

  1. 〘 名詞 〙
  2. こがね。金(きん)
    1. [初出の実例]「高麗大興王方睦大倭、尊重三宝、遙以随喜、黄金三百廿両助成大幅、同心結縁」(出典:醍醐寺本元興寺伽藍縁起并流記資財帳‐天平一九年(747))
    2. [その他の文献]〔戦国策‐楚策〕
  3. 黄金色のもの。金色(こんじき)
    1. [初出の実例]「有方池、有黄金白銀魚出遊」(出典:参天台五台山記(1072‐73)一)
  4. 金銭。貨幣。特に、大判金(おおばんきん)の称。
    1. [初出の実例]「又、連歌の花の本より、露といふ一字を黄金(ワウコン)弐十枚に置れける」(出典:浮世草子西鶴織留(1694)五)
    2. [その他の文献]〔史記‐季布伝〕
  5. 最も輝かしいこと。最良。
    1. [初出の実例]「ぼくは、本当に、黄金の日々を過してゐたのでした」(出典:オリンポスの果実(1940)〈田中英光〉七)

く‐がね【黄金・金】

  1. 〘 名詞 〙 ( 「く」は「き(黄)」と同語源。黄色の金属の意 ) おうごん。きん。こがね。
    1. [初出の実例]「銀も金(くがね)も玉も何せむに勝れる宝子に及かめやも」(出典:万葉集(8C後)五・八〇三)
    2. 「善き事を はじめたまひて 久我禰(クガネ)かも たしけく有らむと 思ほして 心(した)悩ますに」(出典:万葉集(8C後)一八・四〇九四)

黄金の語誌

コガネの古形。クはキ(黄)の交替形。万葉歌の「金」を古写本でコガネと訓むが、挙例の「万葉‐四〇九四」の仮名書き「久我禰」によってクガネと訓んでよいであろう。「本草和名」「観智院本名義抄」などの古辞書や「日本書紀」古訓、「竹取」以後の物語、「後拾遺集」などにはコガネが認められ、中古以降クガネは衰微し、コガネにとって代わられたとみられる。


こう‐きんクヮウ‥【黄金】

  1. 〘 名詞 〙 こがね。金(きん)。また、黄金色をしたもの。おうごん。
    1. [初出の実例]「如星如玉黄金質 香味応簠簋」(出典:性霊集‐四(835頃)進柑子表)

き‐がね【黄金】

  1. 〘 名詞 〙 こがね。おうごん。近世では、大判や小判をいう場合が多い。〔観智院本名義抄(1241)〕
    1. [初出の実例]「都の人に黄金(キガネ)八十枚に代(しろ)なしてより次第に分限と成」(出典:浮世草子・西鶴織留(1694)二)

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報 | 凡例

日本大百科全書(ニッポニカ) 「黄金」の意味・わかりやすい解説

黄金
おうごん
The Treasure of the Sierra Madre

アメリカ映画。1948年作品。ジョン・ヒューストン監督。ヒューストンが得意とした、いわゆる「努力水泡」型冒険物語の代表作。メキシコのシエラマドレ山中で苦労の末、砂金を発見した三人のアメリカ人(ハンフリー・ボガート、ティム・ホルトTim Holt(1919―1973)、ウォルター・ヒューストンWalter Huston(1884―1950))が、独占欲や猜疑(さいぎ)心の虜(とりこ)となって、最後にはすべてを失ってしまう。これを監督のヒューストンは、第二次世界大戦中に激戦地でのドキュメンタリー映画制作で培った荒々しいまでの即物的タッチで描いていく。B・トレイブンB. Traven(1882―1969)の小説をヒューストン自身が脚色したこの映画は、アカデミー監督賞、脚色賞、助演男優賞を受賞。ヒューストンは2部門で、また、父親のウォルター・ヒューストンと史上初の親子受賞の快挙も達成した。

[宮本高晴]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

デジタル大辞泉プラス 「黄金」の解説

黄金〔映画〕

1948年製作のアメリカ映画。原題《The Treasure of the Sierra Madre》。監督:ジョン・ヒューストン、出演:ハンフリー・ボガート、ウォルター・ヒューストン、ティム・ホルトほか。第21回米国アカデミー賞作品賞ノミネート。同監督賞、助演男優賞(ウォルター・ヒューストン)、脚色賞受賞。

黄金〔小説〕

英国の作家ディック・フランシスのミステリー(1987)。原題《Hot Money》。競馬界を舞台にしたシリーズの第26作。

黄金〔錦鯉の品種〕

錦鯉の一種。全身が金色の光り無地もの。新潟県在住の青木沢太氏が作出。以後、多くの派生品種を生んだ。

出典 小学館デジタル大辞泉プラスについて 情報

普及版 字通 「黄金」の読み・字形・画数・意味

【黄金】こうきん・おうごん

金。

字通「黄」の項目を見る

出典 平凡社「普及版 字通」普及版 字通について 情報

[日本酒・本格焼酎・泡盛]銘柄コレクション 「黄金」の解説

おうごん【黄金】

広島の日本酒。蔵元は「高田酒造」。現在は廃業。蔵は豊田郡大崎上島町にあった。

出典 講談社[日本酒・本格焼酎・泡盛]銘柄コレクションについて 情報

世界大百科事典(旧版)内の黄金の言及

【金】より

…英語gold,ドイツ語Goldは,ともにサンスクリットの〈輝く〉という意味の語に由来するとされている。日本では古くから黄金(おうごん∥こがね)と呼ばれ,五色の金の一つとされている。 古くから使用された理由は,大部分単体の形で産出するからである。…

【大仏開眼】より

…この間元正上皇,僧行基は大仏の完成をみることなく物故していた。 塗金に用いる黄金の入手には苦慮していたが,749年2月に陸奥国小田郡(現,宮城県遠田郡涌谷町)より黄金産出の報が告げられ,4月1日に聖武天皇,光明皇后をはじめ百官が東大寺に詣で,日本最初の産金に対して,大仏の加護を謝す長文の宣命が左大臣橘諸兄により奉読された。ついで功臣,造寺関係者などにも官位の昇叙があり,歌人である越中国守大伴家持も《万葉集》にこのときの和歌をのこしている。…

【サンドラール】より

…その後も旅行癖は止まず,作品の視野はますます広がり,長編詩の延長発展とでもいうべき前衛的小説をやつぎばやに発表し,一作ごとに新しい様式を打ち出す離れ業を演じのけた。フランス小説の文体に革命をもたらしたといわれる《黄金》(1925)をはじめ,《モラバジーヌ》(1926),《ダン・ヤックの告白》(1929)等々の長編小説群は,すでに20世紀文学の古典として高い評価を得ている。43年,4巻から成る特異な回想録シリーズの第1巻《雷に打たれた男》を発表し,49年に刊行された《空の分譲地》で一応の完結を見る。…

【金】より

…英語gold,ドイツ語Goldは,ともにサンスクリットの〈輝く〉という意味の語に由来するとされている。日本では古くから黄金(おうごん∥こがね)と呼ばれ,五色の金の一つとされている。 古くから使用された理由は,大部分単体の形で産出するからである。…

※「黄金」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

今日のキーワード

プラチナキャリア

年齢を問わず、多様なキャリア形成で活躍する働き方。企業には専門人材の育成支援やリスキリング(学び直し)の機会提供、女性活躍推進や従業員と役員の接点拡大などが求められる。人材の確保につながり、従業員を...

プラチナキャリアの用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android