黒坊（読み）くろんぼう

精選版 日本国語大辞典

くろん‐ぼう‥バウ【黒坊】

1. 〘 名詞 〙
2. ① 黒色人種をいう蔑称。黒人。
   1. [初出の実例]「くろん坊海から出たは濡羽いろ」(出典：雑俳・川柳評万句合‐明和元（1764）満二)
3. ② 日に焼けたり、炭の粉をかぶったりして、皮膚の色が黒くなった人。または、光線のかげんで黒く見えること。また、その人。
   1. [初出の実例]「朧月の桂男やくろんぼう〈方成〉」(出典：俳諧・崑山集（1651）二)
4. ③ 歌舞伎で黒子(くろご)を着て出る後見役。また、その者。
   1. [初出の実例]「あいわたしもと黒ん坊もちを喰い」(出典：雑俳・川柳評万句合‐安永四（1775）礼五)
5. ④ 黒い僧衣を着た坊主。
   1. [初出の実例]「何といふとは、此衣を御覧(ろふ)じませ。ころもおろかや狼谷に、徘徊致すくろん坊でござりまする」(出典：歌舞伎・名歌徳三舛玉垣（1801）五立)
6. ⑤ 麦や粟などの出穂の時、微菌におかされてできる黒い穂のこと。黒穂。《 季語・夏 》 〔和漢三才図会（1712）〕

くろん‐ぼ【黒坊】

1. 〘 名詞 〙
2. ① ＝くろんぼう（黒坊）
   1. [初出の実例]「あがりけり・くろんぼなをすせみもつれ」(出典：雑俳・楊梅（1702）)
3. ② 昆虫「こおろぎ（蟋蟀）」の異名。〔重訂本草綱目啓蒙（1847）〕

くろ‐ぼう‥バウ【黒坊】

1. 〘 名詞 〙 ＝くろんぼう（黒坊）〔日葡辞書（1603‐04）〕
   1. [初出の実例]「護摩堂をみれば、すすけつつ、不動のかほはくろ坊(バウ)がにらみけるよと」(出典：仮名草子・尤双紙（1632）上)

出典　精選版 日本国語大辞典