ICU(Intensive Care Unit)症候群

六訂版 家庭医学大全科 の解説

ICU(Intensive Care Unit)症候群
(こころの病気)

 大きな手術の後や救急入院などで、集中治療室(ICU)に入室した患者さんに、錯乱(さくらん)幻覚(げんかく)見当識(けんとうしき)障害・不穏・興奮などの精神症状が起こるものをICU症候群といいます。

 要因として、もともとの病気や手術、麻酔や治療薬などによる影響(身体的要因)のほか、昼夜区別がつきにくい部屋で長時間過ごすことによる睡眠リズムの乱れ(環境要因)、チューブ類や医療機器につながれて身動きがとれないための拘禁(こうきん)ストレス(心理的要因)、といったさまざまなものが関連し、これらが複合的に絡み合って生じるとされています。

 ICU症候群の用語は、こうした状況や起こっている現象に対して用いられ、医学的な原因はさまざまです。実際には、せん(もう)が関与していることが多く、ほかに不安や抑うつ、脳機能損傷による認知機能障害(にんちきのうしょうがい)精神病性障害(せいしんびょうせいしょうがい)などが影響します。治療は要因に応じて、もとの病気への対応、睡眠の確保、環境調整、薬物の調整などが行われます。

出典 法研「六訂版 家庭医学大全科」六訂版 家庭医学大全科について 情報

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