共同通信ニュース用語解説 「USスチール」の解説
USスチール
1901年設立。米大統領選の激戦州、東部ペンシルベニア州に本社を置く米国の鉄鋼メーカー。昨年12月に日本製鉄が完全子会社化する買収計画を発表した。年間の粗鋼生産能力は2千万トン規模で、世界鉄鋼協会によると2022年の生産量は27位。かつては米国の鉄鋼業界をけん引したが、近年は中国企業に押され相対的に存在感が薄れている。(共同)
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1901年設立。米大統領選の激戦州、東部ペンシルベニア州に本社を置く米国の鉄鋼メーカー。昨年12月に日本製鉄が完全子会社化する買収計画を発表した。年間の粗鋼生産能力は2千万トン規模で、世界鉄鋼協会によると2022年の生産量は27位。かつては米国の鉄鋼業界をけん引したが、近年は中国企業に押され相対的に存在感が薄れている。(共同)
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アメリカ最大の鉄鋼メーカー(略称USS)。本社はペンシルベニア州ピッツバーグ。A・カーネギー、J・P・モルガン、W・H・ムーアの三つの資本グループによって支配されていた11の鉄鋼会社の企業合同を通じて、世界最初の「ビリオンダラー会社」(資産総額が10億ドルを上回る会社)として、1901年にニュー・ジャージー州で設立された。当時、同社は国内の鉄鋼生産能力の約65%を占める一大鉄鋼トラストであり、トラスト結成による独占利潤の獲得をねらった典型的企業合併として歴史的に有名である。だが、その後1920年には4対3というきわどい票差で最高裁の解体判決を免れたものの、アメリカの鉄鋼業における同社のシェアは漸次低下していった。第二次世界大戦後、外国、とくに日本とEC諸国の進出に押されてそのシェアはますます低下し、業績も振るわなくなった。そのため、設定した基準価格を下回る輸入鋼材に対して、自動的にダンピング調査を開始するダンピング防止手続の迅速化を目的とした、実質的な輸入規制であるトリガー価格制度その他によって、輸入鉄鋼との競争の緩和を政府に実行させた。その一方、USスチール自身も鉄鋼産業以外への多角化によって危機を回避しようとした。1981年に実現した当時全米第17位のマラソン石油Marathon Oil Co.の吸収合併(買収総額62億ドル)は、同社の事業内容を大きく変化させるものとなった。1986年にはテキサス石油・ガスTexas Oil & Gas Co.も買収、同年の粗鋼生産高は960万トンに上ったものの、同期売上高に占める比率はわずかに24%にすぎなかった。その結果、石油・天然ガスの60%、その他16%に比べて鉄鋼会社としての実態を失うに至ったことを反映し、1986年7月、社名をUSスチールからUSXに変更した。
1986年、15億9300万ドルもの欠損を計上したUSスチールは、大規模なリストラクチャリング(経営再構築)にとりかかった。それは、大幅な人員削減とともに、収益の低下した製鉄所を閉鎖して生産設備を集約したうえ、生産品種を絞り込むという経営合理化である。この戦略により業績はしだいに上向き、1994年には黒字を計上するまでに回復した。そして鉄鋼以外に、コークス、石炭、鉄鉱石など鉄鋼生産の主要原料の生産・販売も行う大手企業となった。また、低い営業コストを維持するため、原料を企業の内部に取り込んでいるアメリカ唯一のメーカーでもある。2001年末、エネルギー事業をマラソン石油として分離独立させ、社名をUSスチールに戻した。2003年5月に既に倒産していたナショナル・スチールNational Steel Corp.を買収。2007年9月にはカナダの大手鉄鋼会社のステルコStelco Inc.(USスチール・カナダと改称)を買収した。USスチールの2008年の売上高は237億5400万ドル、純利益は21億1200万ドル。
[萩原伸次郎]
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「ユナイテッド・ステーツ・スチール」のページをご覧ください。
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