化学辞典 第2版 「p-n接合」の解説
p-n接合
ピーエヌセツゴウ
p-n junction
n-p接合ともいう.半導体中でp型領域とn型領域が接して障壁を形成している部分をいう.原料となる半導体はGeやSiが主であるが,化合物半導体も使われ,また同一の材料を用いた同種接合(ホモ接合)と異種の材料を組み合わせた異種接合(ヘテロ接合)がある.この接合部では,熱平衡状態でp型領域とn型領域のフェルミ準位が同一レベルとなり,その境界部分に遷移領域ができる.この部分では,イオン化したドナーやアクセプターのため,コンデンサーを形成するとともに,両領域の静電ポテンシャルの差による拡散電位を発生し,種々の電気的特性を示す.p-n接合のもっとも重要な特性は整流性であって,図においてp型領域に正,n型領域に負の電圧を加えると,p型領域中の多数キャリヤーである正孔はn型領域へ,またn型領域中の電子はp型領域へ注入されるため,電流は流れやすい(順方向).次にp型領域を負,n型領域を正にするように電圧をかければ,少数キャリヤーが他領域へ流れ込むことになるので,電流は流れにくい(逆方向).また,この遷移領域に禁止帯幅以上のエネルギーをもった光を照射して電子-正孔対を発生させると,接合部に存在する電場のため,電子はn型領域へ,正孔はp型領域へ移動する.したがって,p型領域は正,n型領域は負に帯電し,光起電力効果を生じる.p-n接合は,整流作用を用いるダイオードやトランジスター,光起電力効果を用いる光電池,静電容量が印加電圧によって変化することを用いたバラクター,順方向電流の注入による発光を用いたレーザーなどに利用される.
出典 森北出版「化学辞典(第2版)」化学辞典 第2版について 情報