フランス南部のリゾート地カンヌで開かれている世界最高峰の映画祭。1946年に始まった。コンペティション部門の最高賞「パルムドール」は勝利の象徴「黄金のシュロ」を意味し、カンヌ市の紋章にちなむ。コンペ部門のほかに、斬新な作品を集める「ある視点」部門などがある。ベネチア、ベルリンと合わせて世界三大映画祭と呼ばれる。(共同)
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ベネチア国際映画祭、ベルリン国際映画祭とともに、国際映画製作者連盟(FIAPF)が公認する世界三大映画祭の一つ。毎年5月にフランスの地中海沿岸のリゾート地、カンヌで開催される。1939年、ファシスト政権による政治色が濃くなっていたベネチア国際映画祭に対抗して創設される予定だったが、戦局のため遅延し、1946年に第1回目が開催された。以後1948年と1950年、および五月革命の最中、フランソワ・トリュフォーやジャン・リュック・ゴダールらシネマテーク擁護委員会のメンバーたちが映画祭を中断に追い込んだ1968年を除き、毎年開催されている。公式部門(オフィシャル・セレクション)には、パルム・ドールを選出する「コンペティション」とオリジナリティのある作品を選出する「ある視点」(1978年創設)を中心に、世界各国の映画学校の学生がつくった短編・中編作品を対象にした「シネフォンダシオン」(1998年創設)、短編映画のコンペティションである「カンヌ短編」(2010年創設)の各部門、「コンペティション外」の作品や「特別招待作品」、過去の名作を復元版やニュープリントで上映する「カンヌ・クラシック」などが含まれる。また、公式部門とは独立したものとして、「国際批評家週間」(1962年創設)と「監督週間」(1969年創設)がある。コンペティションと短編部門の最高賞はパルム・ドール。グランプリとよばれていた時期もあったが、現在は審査員特別賞がグランプリとよばれる。1978年に創設されたカメラ・ドールは、もっとも優秀な処女作品に与えられる新人賞である。日本映画の最高賞受賞作品は、衣笠貞之助(きぬがさていのすけ)監督の『地獄門』(1953、受賞は1954年)、黒澤明(くろさわあきら)監督の『影武者』(1980)、今村昌平(いまむらしょうへい)監督の『楢山節考(ならやまぶしこう)』(1983)および『うなぎ』(1997)。カメラ・ドール受賞作品は河瀬直美(かわせなおみ)(1969― )監督の『萌(もえ)の朱雀(すざく)』(1997)。近年若い才能の発掘とその製作支援に力を入れており、「シネフォンダシオン」や「カンヌ短編」部門の創設はその一環である。2000年には若い監督たちの脚本執筆をサポートする「レジデンス」を開設、2005年からは若手の経済的支援のための「アトリエ」を設けて、各年20名ほどの監督を支援している。映画祭と同時に開催される「マルシェ・デュ・フィルム」は、1959年から始まった世界最大規模の映画の見本市で、国際的な映画ビジネスの場となっている。2000年には各国が映画のプロモーション活動を行う「国際映画村」が開設された。
[伊津野知多]
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(宮本治雄 映画ライター / 2007年)
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