サラクルー(読み)さらくるー(英語表記)Armand Salacrou

デジタル大辞泉 「サラクルー」の意味・読み・例文・類語

サラクルー(Armand Salacrou)

[1899~1989]フランス劇作家人間と神をめぐる問題を追究した。作「地球は丸い」「デュラン大通り」など。

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

精選版 日本国語大辞典 「サラクルー」の意味・読み・例文・類語

サラクルー

(Armand Salacrou アルマン━) フランスの劇作家。シュールレアリスムから出発し、反写実の手法を大胆に取り入れた社会風刺劇を書いた。代表作に「地球は円い」「怒りの夜」「神は知っていた」。(一八九九‐一九八九

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報

日本大百科全書(ニッポニカ) 「サラクルー」の意味・わかりやすい解説

サラクルー
さらくるー
Armand Salacrou
(1899―1989)

フランスの劇作家。8月8日ルーアンに薬剤師の子として生まれる。パリで医学、哲学、法学を修め、シュルレアリスムコミュニズム洗礼を受け、ジャーナリストとして働きながら劇作に手を染め、まず前衛的な『パチューリ』が1930年にシャルル・デュランに取り上げられて劇界にデビューした。第二次世界大戦前には『アトラス・ホテル』(1931)、『自由な女』(1934)、『アラスの見知らぬ女』(1935)、これもデュランが上演して好評を得た傑作、ルネサンス期イタリアの教会改革者・狂信的独裁者の怪僧サボナローラ主人公にした『地球は丸い』(1938)、それに喜劇笑い話』(1939)など、さまざまなテーマと手法で、反写実のユニークな人間の条件のドラマを世に問うて気を吐いた。こうしてレジスタンスに材を得た『怒りの夜』(1946)や『ルノワール群島』(1947)を機として、戦後はいよいよ成熟した手つきで『神は知っていた』(1950)、『デュラン大通り』(1960)など、概して社会性の強い作品を発表、それを実存的な孤独感と融和させて健在を示したが、1960年代以降は第一線から遠のいた感が否めない。現代のフランス演劇界を代表する一人で、1949年来アカデミー・ゴンクール会員であった。

渡辺 淳]

『鎌田博夫他訳『てすびす叢書第18 怒りの夜』(1953・未来社)』『鈴木力衛訳『神は知っていた』(『現代世界戯曲選集1 フランス編』所収・1953・白水社)』『岩瀬孝訳『地球は丸い』(『現代フランス戯曲選集 第1巻』所収・1960・白水社)』

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

改訂新版 世界大百科事典 「サラクルー」の意味・わかりやすい解説

サラクルー
Armand Salacrou
生没年:1899-1989

フランスの劇作家。ジャーナリストとして出発し,1922年ころから戯曲を書き始めたが,デュラン後押しで上演された初期の作品は,ほとんど不評だった。最初の成功は30年の《自由な女》である。無意識的記憶のピランデロ的現象を活用した《アラスの見知らぬ女》(1935)では,当時としては新しい映画のフラッシュバックの手法を使って前衛作家と目された。38年デュランがアトリエ座で演出・主演した《地球は丸い》は,ルネサンス期イタリアの教会改革者サボナローラと一般民衆のそれぞれの時間を並列させるという手法で成功し,とくに主人公の狂信的独裁者の風貌にヒトラーの面影を投影させて話題となった。第2次大戦中のレジスタンスを描いた《怒りの夜》(1946),さらに風俗喜劇《ルノアール群島》(1947),社会劇《デュラン大通り》(1960)など,筋立てと会話の巧みな技巧派振りを発揮した。
執筆者:

出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「サラクルー」の意味・わかりやすい解説

サラクルー
Salacrou, Armand

[生]1899.8.8. ルーアン
[没]1989.11.23. ルアーブル
フランスの劇作家。 17歳で短編小説を『ユマニテ』紙に発表,次いで同紙の記者となり,シュルレアリスムに近づいた。初期の戯曲は不評であったが,宣伝事業で財産を築き,1934年『自由な女』 Une femme libreで認められ,35年 L.ピランデッロならびにシュルレアリスムの影響の濃い『アラスの未知の女』L'Inconnue d'Arrasで成功。以後サボナローラを主人公とした寓話詩的作品『地球は丸い』 La terre est ronde (1938) などで好評を博したが,第2次世界大戦後は一転して『ルアーブルの許婚者』 Les fiancés du Havre (44) のような通俗劇と『怒りの夜』 Les nuits de la colère (46) ,『デュラン通り』 Boulevard Durand (61) などの社会劇を書いた。

出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報

今日のキーワード

焦土作戦

敵対的買収に対する防衛策のひとつ。買収対象となった企業が、重要な資産や事業部門を手放し、買収者にとっての成果を事前に減じ、魅力を失わせる方法である。侵入してきた外敵に武器や食料を与えないように、事前に...

焦土作戦の用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android