ブタン(英語表記)butane

翻訳|butane

デジタル大辞泉 「ブタン」の意味・読み・例文・類語

ブタン(butane)

メタン系炭化水素の一。正ブタンイソブタン二つ異性体がある。分子式C4H10

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

精選版 日本国語大辞典 「ブタン」の意味・読み・例文・類語

ブタン

  1. 〘 名詞 〙 ( [英語] butane [ドイツ語] Butan ) 炭素数四個のメタン系炭化水素。正ブタンとイソブタンの二種の異性体があるが、ふつうは正ブタンをいう。化学式 C4H10 常温無色気体石油系天然ガスや石油分解ガス中に含まれる。液化しやすく、燃料・化学工業用原料などに用いられる。

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報 | 凡例

改訂新版 世界大百科事典 「ブタン」の意味・わかりやすい解説

ブタン
butane

炭素数4個のアルカン脂肪族鎖式飽和炭化水素)。化学式C4H10。2種の異性体がある。n-ブタン(IUPAC名は単にブタン)CH3CH2CH2CH3は正ブタンとも呼ばれ,沸点-0.50℃,イソブタン(IUPAC名は2-メチルプロパン)(CH33CHは分枝状アルカンの最も簡単なもので,沸点-11.73℃である。天然ガスの一成分として産し,また原油中に溶存し,石油精製における蒸留ガスに含まれる。重質油の熱分解(クラッキング)あるいは接触改質リフォーミング)の際に副生する。化学的に安定で,ほとんどの化学試薬とは反応しない。液化石油ガスLPG)の一成分として工業用・自動車用燃料として用いられるほか,ガソリン中に適量を溶解させて蒸気圧調節,オクタン価向上に役だたせる。
執筆者:

出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報

化学辞典 第2版 「ブタン」の解説

ブタン
ブタン
butane

C4H10(58.12).CH3(CH2)2CH3.4個の炭素原子が直鎖状に結合した飽和炭化水素で,異性体であるイソブタンと区別して,n-ブタンとよぶことも多い.また,一般式C4H10で表される炭化水素,すなわちブタンおよびイソブタンの総称としても用いられる.湿性天然ガスの一成分.石油系炭化水素の分解ガスに含まれる.実験室的には,ヨウ化エチルナトリウムから合成できる.工業的には,上記分解ガスおよびナフサから低温分留法などによって分離される.炭素鎖両末端のメチル基の相対的位置によりゴーシュ形と,より安定なトランス形の二つの回転異性体が存在する.特異臭をもつ無色の気体.融点-138.35 ℃,沸点-0.50 ℃.爆発範囲1.9~8.4体積%.容易に液化し,炭化水素系溶剤に易溶.化学的には安定である.液化石油ガスの成分として,家庭用およびガスライターの燃料に用いられる.異性化・脱水素によりイソブテンに転化できる.[CAS 106-97-8]

出典 森北出版「化学辞典(第2版)」化学辞典 第2版について 情報

日本大百科全書(ニッポニカ) 「ブタン」の意味・わかりやすい解説

ブタン(データノート)
ぶたんでーたのーと

ブタン
n‐ブタン
  CH3CH2CH2CH3
 分子式  C4H10
 分子量  58
 融点   -138.3℃
 沸点   -0.50
 比重   0.600(測定温度0℃)
 爆発範囲 1.9~8.4
 (重量%)

イソブタン

 分子式  C4H10
 分子量  58
 融点   -159.60℃
 沸点   -11.73
 比重   0.5983(測定温度-13.6℃)
 爆発範囲 1.8~8.4
 (重量%)


ブタン
ぶたん
butane

アルカンのうち炭素4個のもので直鎖状のn-ブタンと、枝分れしたイソブタンの2種の異性体がある。普通、ブタンというとn-ブタンをさす。n-ブタンは天然ガス中に存在する。また石油のクラッキングによっても得られる。容易に液化し、また炭化水素系溶剤によく溶ける。液化石油ガス(LPG)の成分として燃料に用いられるほか、ゴムの製造に用いられる。高温では麻酔性がある。

 イソブタンは湿性天然ガス、石油分解ガス中に含まれるが、n-ブタンの異性化によっても得られる。燃料のほか、脱水素によるイソブチレンの製造などに用いられる。

[佐藤武雄]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ブタン」の意味・わかりやすい解説

ブタン
butane

無色,炭化水素ガス特有の臭いのある気体で,炭素原子の結合様式により2種の異性体がある。 (1) n -ブタンまたは正ブタン  CH3CH2CH2CH3 。湿性天然ガス,ガソリン,石油の分解生成物などに含まれる。沸点-0.5℃。工業用燃料に使われ,またガソリンの蒸気圧を変えたり,オクタン価を高めるために添加される。水蒸気,酸素などと反応させるか熱分解するかして,合成ガス,都市ガスなどにも利用する。ブテンまたブタジエンなどの石油化学製品の原料にも使われる。 (2) イソブタン  (CH3)3CH 。湿性天然ガスや石油分解ガス中に含まれる。沸点-11.73℃。イソパラフィン類の製造原料に,液化したものはガスライター用,工業用燃料に用いられる。

出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報

百科事典マイペディア 「ブタン」の意味・わかりやすい解説

ブタン

炭素数4のメタン系炭化水素C4H1(/0)。n‐ブタンとイソブタンの2異性体がある。n‐ブタンCH3(CH22CH3は無色の気体,融点−138℃,沸点−0.5℃。石油の分解生成物中に多量に含まれ,燃料,石油化学原料として用いられる。イソブタン(CH33CHは融点−159.6℃,沸点−11.7℃。燃料,イソブチレンの原料として用いられる。
→関連項目発泡剤

出典 株式会社平凡社百科事典マイペディアについて 情報

今日のキーワード

プラチナキャリア

年齢を問わず、多様なキャリア形成で活躍する働き方。企業には専門人材の育成支援やリスキリング(学び直し)の機会提供、女性活躍推進や従業員と役員の接点拡大などが求められる。人材の確保につながり、従業員を...

プラチナキャリアの用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android