中国、ロシア、カザフスタン、キルギス、タジキスタン、ウズベキスタンが2001年に創設した地域協力組織。当初はテロ対策、麻薬や武器の密輸防止など治安問題が主な議題だったが、近年は貿易、経済、防衛分野での協力も推進。中ロが主導して首脳会議を毎年開催しており、17年にインドとパキスタンの正式加盟を承認。世界人口の約40%に当たる30億人超の規模になった。モンゴル、イラン、アフガニスタン、ベラルーシが準加盟。(ビシケク共同)
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中国、ロシア、カザフスタン、キルギス、タジキスタン、ウズベキスタンが2001年に創設した地域協力組織。17年にインドとパキスタンが正式加盟した。安全保障協力が中心だったが、経済協力を模索する面が次第に強くなった。主導役の中ロには米欧に対抗して世界の多極化推進に利用する思惑がある。全方位外交を堅持するインドには米欧、中ロをにらみバランス外交を展開する場として活用する狙いもある。(共同)
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中国とロシアが主導する地域協力組織。英語名称の頭文字からSCOと略称する。中国、ロシアのほかインド、パキスタン、中央アジア4か国(ウズベキスタン、カザフスタン、キルギス、タジキスタン)、イランの9か国が加盟。軍事、政治、経済・貿易、科学技術、文化面などの包括的協力をうたった憲章をもつ。国連統計(2019年)によると、加盟国の人口は世界全体の4割強、域内総生産(GDP)は2割強、面積はユーラシア大陸の6割を占める。アメリカ一極集中への対抗軸という性格が強いうえ、紛争地帯を域内や隣接地帯に抱える地政学的意味合いもあって、国際的に存在感を高めている。
ソ連崩壊で生じた中国と中央アジア各国の国境周辺での緊張問題を解決するため、1996年、上海に集まった中国、ロシア、中央アジア3か国(ウズベキスタンは参加せず)の上海ファイブ(Shanghai Five)が前身。2001年にウズベキスタンを加えた6か国で憲章を採択して正式に発足し、2017年にインドとパキスタンが加わり、2021年にイランの正式加盟手続を始めた。事務局を北京(ペキン)に置き、毎年加盟国の持ち回りで首脳会議を開催している。2021年時点で、モンゴル、ベラルーシ、アフガニスタンが準加盟国(オブザーバー)で、対話パートナー国にはアゼルバイジャン、トルコといった周辺諸国に加え、サウジアラビア、エジプト、カタールの中東諸国が名を連ねる。国境周辺での緊張緩和という当初目的から、2001年のアメリカ同時多発テロ以降、イスラム過激派対策、テロ防止、麻薬対策、アフガニスタンなど政情不安地域への対応に協力の重点を移した。「内政への不干渉」を共通の目的に掲げ、軍事同盟ではないとうたっているが、2007年以降、ほぼ毎年、加盟国による合同軍事演習も実施している。最近はロシアが掲げる「ユーラシア経済同盟」や、中国が掲げる「一帯一路」構想の実現に向け、加盟国や準加盟国、対話パートナー国を増やし、経済分野での協力を強化している。
[矢野 武 2022年3月23日]
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(袴田茂樹 青山学院大学教授 / 2007年)
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