世界銀行(読み)セカイギンコウ(その他表記)World Bank

翻訳|World Bank

デジタル大辞泉 「世界銀行」の意味・読み・例文・類語

せかい‐ぎんこう〔‐ギンカウ〕【世界銀行】

貧困の解消と持続的な成長の実現に向けて、途上国政府に融資・技術協力・政策助言を行う国際開発金融機関。一般に、IBRD国際復興開発銀行)とIDA国際開発協会)の2機関をさす。世銀。WB(World Bank)。→世界銀行グループ

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共同通信ニュース用語解説 「世界銀行」の解説

世界銀行

世界の貧困問題に対処し、発展途上国の成長のための資金・技術を提供する国際開発金融機関。国際復興開発銀行(IBRD)と国際開発協会(IDA)で構成する。米首都ワシントンに本部を置き、189カ国が加盟。教育や男女格差、環境など幅広い分野の援助を手がけるほか、世界や各国・地域の経済状況を分析した報告書をまとめる。(共同)

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精選版 日本国語大辞典 「世界銀行」の意味・読み・例文・類語

せかい‐ぎんこう‥ギンカウ【世界銀行】

  1. こくさいふっこうかいはつぎんこう(国際復興開発銀行)」の通称。

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改訂新版 世界大百科事典 「世界銀行」の意味・わかりやすい解説

世界銀行 (せかいぎんこう)
World Bank

国際復興開発銀行International Bank for Reconstruction and Development(IBRD)の通称。世銀と略す。本部ワシントン。世界銀行は1944年7月アメリカのニューハンプシャー州ブレトン・ウッズにおいてIMF国際通貨基金)とともに設立が決定され,その協定(ブレトン・ウッズ協定)は45年12月に発効,46年6月25日に業務を開始した。調印国のうちソ連を除くすべての国が最終的には加盟したが,キューバチェコスロバキアポーランドは後日脱退した。世界銀行のおもな資金源はヨーロッパ,日本,アメリカ,中東の各資本市場からの中期および長期の借入れによる調達であるが,これ以外にも払込資本,留保利益および貸付金回収から生ずる資金もある。貸付けの対象は受入国にとって実質経済収益率が高いと見込まれるプロジェクトに限定され,政府または政府保証のある民間企業にのみ融資される。貸付期間は一般に15~20年,据置期間は3~5年,貸出金利は世界銀行が支払う借入金の金利に応じて変動する。1946年発足時は授権資本は100億ドルであったが,2005年には1897億ドルに増額されている。加盟国数は2005年末現在184ヵ国。各加盟国の任命する総務で構成される総務会が最高意思決定機関であるが,総務会は通常年1回開催されるだけで,大部分の業務は本部ワシントンに常駐する24人からなる理事会に委託される(理事会議長が総裁)。投票権は基本票250票のほかに相対的な経済力を基準とした出資額に応じ配分されている。日本は敗戦国であったため発足当時は加盟できず,1952年8月に西ドイツとともに加盟した。53年から66年までに日本は電力,鉄鋼,道路,鉄道等累計8億6300万ドルの借款をしたが,この後はもっぱら資本供与国となった。84年に行われた特別増資の結果,日本は第5位からアメリカに次ぐ第2位の出資国となった。

世界銀行の融資はその資金源の性格からいって商業ベースに乗ることが求められ,最貧国にとってはその借入れ・返済が困難であるため,1960年12月,国際開発協会International Development Association(IDA,通称第二世界銀行)が創立された。IDAは法律上も財政上も世界銀行とは別個の存在であるが同一の職員によって運営される。その融資対象は政府に限り,融資条件は,返済期間35~40年,据置期間10年,無利子(ただし融資未実行分については年0.5%,融資実行済分については年0.75%の手数料が課せられる)などとなっている。資金はその融資の性格からいって,全加盟国からの応募出資金,主として富裕な加盟国(Ⅰ部加盟国という)からの拠出金,世界銀行の純益からの移転分といったような返済の必要のないものに頼っている。資本総額は1189億ドル(2003年6月)で,日本は第1位の出資国。

世界銀行の姉妹機関として,国際金融公社International Finance Corporation(IFC)が,とくに発展途上国の生産的な民間企業の育成助長と支援を目的として,1956年7月に設立された。その機能は単に民間部門に資金を貸与するだけでなく,財務,法務,技術の分野における助言をも提供する。その基本原則としては,他の投資家と共同して援助を提供することであり,政府の返済保証を必要としない。株式を保有することもあるが経営参加は行わない。発足時の授権資本は1億ドルであったが,2005年現在23億6389万ドルに達した。
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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「世界銀行」の意味・わかりやすい解説

世界銀行
せかいぎんこう
World Bank

国際連合加盟国の経済開発を推進するプロジェクトへの資金提供を目的とした国連傘下の国際機関。正式名称は世界銀行グループ World Bank Group。本部所在地はアメリカ合衆国のワシントンD.C.。発展途上国に対する財政援助の最大の資金源であるほか,技術支援や政策助言,債権国に代わって自由市場改革の実施の監督なども行なう。国際通貨基金 IMFや世界貿易機関 WTOとともに,途上国における経済政策の監督や公的制度の改革,および世界的なマクロ経済的課題の明確化において中心的役割を担う。
世界銀行グループは国際復興開発銀行 IBRD,国際開発協会 IDA,国際金融公社 IFC,多数国間投資保証機関 MIGA投資紛争解決国際センター ICSIDの 5機関から構成される。IBRDは中所得国と信用力のある低所得国に対し,市場金利で融資を行なう。IDAは低所得国に対し,保健医療,教育,農村開発などの分野で無利子の長期融資,技術支援,政策助言を提供する。IFCは民間投資機関と連携し,途上国における事業への融資や融資保証,および株式による資金調達を行なう。MIGAは途上国における戦争などの非商業的リスクから生じる損失に対する融資保証と保険を外国投資機関に提供する。ICSIDは IBRDから独立して運営される機関で,外国投資機関と投資受け入れ国である途上国との間の投資紛争を仲裁または調停により解決することを任務とする。なお,一般に「世界銀行」という場合,IBRDと IDAの 2機関をさす。
世界銀行は,第2次世界大戦後の新たな国際経済体制の確立を目的として 1944年に開催された連合国通貨金融会議(→ブレトンウッズ協定)において設立され,1946年6月正式に業務を開始した。最初の融資は西ヨーロッパの戦後復興に向けて行なわれた。1950年代半ばからは,発展途上国における道路,水力発電ダム,上下水道設備,港湾,空港などのインフラストラクチャー開発プロジェクトへの投資資金の提供において主要な役割を果たした。1968年から 1981年まで世界銀行総裁を務めた元アメリカ合衆国国防長官のロバート・S.マクナマラの指揮のもと,世界銀行は「持続可能な開発」という概念を創案し,途上国における経済成長と環境保護の両立を試みた。この概念のもう一つの特徴は,富裕国と貧困国の間の所得格差を縮小する手段として,開発支援および外国投資による途上国への資本流入を用いたことである。世界銀行は融資活動を拡大し,多数の研究部門や政策部門を有する強大で権威ある政府間機関へと発展した。

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百科事典マイペディア 「世界銀行」の意味・わかりやすい解説

世界銀行【せかいぎんこう】

国際復興開発銀行International Bank for Reconstruction and Development(略称IBRD)の通称。世銀とも。戦災国の経済復興や発展途上国開発を進める国際機構。国連専門機関の一つ。国際通貨基金(IMF)とともに,ブレトン・ウッズ協定に基づき1945年設立。当初は戦災国の復興を目的としていた。現在では発展途上国のための融資が主な業務であり,民間から融資を受けられない国家や機関に,市場で借り入れた資金を市場条件で貸し付けたり,民間からの融資の保証を行う。国家ばかりでなく,例外的に個人的企業も契約の対象とする。最高機関は総務会で全加盟国で構成され,理事会は五大出資国代表を含む22人からなり執行的権能をもつ。各加盟国は出資額に応じた表決権をもつ。近年では工業部門を中心に,教育・農業部門,市場経済への移行支援の融資等に重点をおくとともに,投資の保証や技術援助(開発計画の策定,人材派遣,技術者の養成等)などのサービス業務を拡大している。2012年現在世銀グループ加盟国188。グローバル化にともなう世界的な貧富格差の拡大と,2008年の世界同時不況にともなう資金不足に直面している。なお,世銀とともに,国際開発協会(第二世銀),国際金融公社(第三世銀)の金融機関と,国際投資紛争調停機関,多国間投資保証機関の付属機関をまとめて世界銀行グループという。本部はワシントン。日本は1952年加盟。
→関連項目インパクト・ローン華人経済圏借款ブレイディ構想ブレトン・ウッズ体制

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知恵蔵 「世界銀行」の解説

世界銀行

主に発展途上国の政府や民間企業に対して融資を行う公的な国際金融機関で、国際復興開発銀行(IBRD : International Bank for Reconstruction and Development、1945年設立、185カ国加盟)、国際金融公社(IFC : International Finance Corporation、56年設立、179カ国加盟)、及び国際開発協会(IDA : International Development Association、60年設立、166カ国加盟)の総称。これに国際投資紛争調停機関(ICSID : International Centre for Settlement of Investment Disputes、66年設立、144カ国加盟)と多国間投資保証機関(MIGA:Multilateral Investment Guarantee Agency、88年設立、171カ国加盟)を加えて世界銀行グループと呼ぶ(加盟国数は2007年8月末現在)。IBRDは、比較的所得水準の高い発展途上国の政府に市場金利で、IDAは、後発発展途上国(LDC)の政府に無利子で長期間の融資を行う。IDAから融資を受けられる適格国は、アフリカ諸国を中心とする81カ国(07年8月末現在)。IFCは、発展途上国の民間企業に政府の保証なしで市場金利で融資を行う。ICSIDは、外国投資家と債務国との間の紛争を調停し、MIGAは、非商業的リスクによって生じた投資家の損失を補償する。ICSIDを除く4機関の理事会(いずれも24カ国で構成)における融資先などの決定は、加盟国の拠出金額に応じた投票権の行使によって行われるが、米国が最大の投票権保持国で、各々13〜24%、次いで日本が4〜10%を保有している(07年7月末現在)。

(室井義雄 専修大学教授 / 2008年)

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ASCII.jpデジタル用語辞典 「世界銀行」の解説

世界銀行

各国の中央銀行に対し融資を行なう、国際連合の専門機関。一般には「国際復興開発銀行」を指す。1960年に設立された国際開発協会とあわせて世界銀行と呼ぶこともある。44年の第2次大戦中に発足。連合国代表がアメリカ・ニューハンプシャー州ブレトン・ウッズに集合し、戦後の世界経済の安定と復興について協議するが、この時、国際復興開発銀行(IBRD)と国際通貨基金(IMF)を創設する協定が起草され、IBRDは翌45年に設立された。世界銀行は、一般に国際復興開発銀行と国際開発協会を指す。これに姉妹機関であるIFC、MIGA、ICSIDを併せて世界銀行グループと呼ばれる。

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FX用語集 「世界銀行」の解説

世界銀行

発展途上国の開発を支援する国際金融機関。また世界銀行は、途上国の異なる発展段階や多様な資金需要に応じるため、次の機関によりグループを構成しています。国際復興開発銀行(IBRD)、国際開発協会(IDA)、国際金融公社(IFC)、多数国間投資保証機関(MIGA)。

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山川 日本史小辞典 改訂新版 「世界銀行」の解説

世界銀行
せかいぎんこう

国際復興開発銀行(こくさいふっこうかいはつぎんこう)

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山川 世界史小辞典 改訂新版 「世界銀行」の解説

世界銀行(せかいぎんこう)

国際復興開発銀行(IBRD)

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「世界銀行」の意味・わかりやすい解説

世界銀行
せかいぎんこう

国際復興開発銀行

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旺文社世界史事典 三訂版 「世界銀行」の解説

世界銀行
せかいぎんこう

国際復興開発銀行

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世界大百科事典(旧版)内の世界銀行の言及

【ブレトン・ウッズ体制】より

…1944年アメリカのニューハンプシャー州ブレトン・ウッズにおいて連合国通貨金融会議が開催され,通常ブレトン・ウッズ協定Bretton Woods Agreementsと呼ばれる二つの協定が締結された。この協定にもとづいて,46年6月に国際復興開発銀行(いわゆる世界銀行,IBRD)がその業務を開始し,翌47年3月に国際通貨基金(IMF)が同じく業務を開始した。ここに戦後の国際通貨体制を支える中心的機構が確立されたのである。…

【貿易】より

…またラテン・アメリカ諸国はこの時期に輸入代替的工業化に着手している。 第2次大戦終了を機にIMF(国際通貨基金),GATT(ガツト)(関税・貿易に関する一般協定),世界銀行(国際復興開発銀行)を3本柱とするブレトン・ウッズ体制が成立した。初期にはそれぞれ十分な機能を果たせず,アメリカの強いドル,片務的な自由貿易促進,巨額の援助によってそれぞれが補われたが,西ヨーロッパの復興が成り,いろいろな統制が撤廃され,貿易や為替の自由化が進んでくると,この体制のもとで世界貿易は第2の拡大期を経験した。…

※「世界銀行」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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