現千代田区の東部一帯の呼称。江戸時代は外堀内にあたり、丸ノ内とよばれていた。昭和四年(一九二九)に初めて丸ノ内一―三丁目の町名が付けられた。丸ノ内から丸の内に変わったのは同四五年。
明治維新後兵部省(のち陸・海軍省)や司法省の用地となり、東京鎮台や練兵場、東京裁判所や
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東京都千代田区東部の地名。皇居外苑と東京駅を通るJR線の間に位置し,1~3丁目に分かれる。東京駅を中心に東京都庁(1991年新宿区へ移転),JR東日本本社(97年渋谷区に移転),中央郵便局(2008年八重洲に移転)などのほか,民間大会社の本社が集中し,丸ビル,新丸ビルを含むビル街が北側の大手町にかけて展開する。地下鉄各線が乗り入れ,道路は整然と幅広く,とくに東京駅丸の内口から和田倉門を経て皇居へ至るイチョウの並木道は,日本で最も美しい道路の一つである。関東大震災後に設定されたビルの高さ制限も撤廃され,従来は8~9階に統一されていたビル街のスカイラインも大きく変貌した。平日の日中はサラリーマンや自動車で混雑するが,居住者はほとんどいないため休日や夜間は人気のない街と化す。帝国劇場,パレスホテル,出光美術館などがある。
〈丸の内〉という呼称は,江戸城の御曲輪内(みくるわうち)の通称で,現在の外堀(一部埋立て)から皇居外苑を含み,日比谷から一ッ橋にわたる一帯を指していた。ここには譜代大名の上屋敷や南北町奉行所,勘定奉行所,歩兵屯所などが置かれ,中心部を通る道は俗に大名小路と呼ばれた。東側の日本橋,銀座方面とは神田橋,常盤(ときわ)橋,呉服橋,鍛冶橋,数寄屋橋で結ばれていた。明治以後,屋敷町は官有となり,司法省,大審院,東京裁判所,警視庁のほか,陸軍省や騎兵隊,工兵隊の兵営,操練場が置かれ,東京府立勧工場(辰ノ口勧工場)も開場した。1890年,陸軍用地は三菱に払い下げられ,一時は〈三菱ヶ原〉と呼ばれた。94年東京府庁舎が落成,一方,三菱はイギリスの経済の中心地ロンドンのロンバート街をモデルとしたオフィス街の建設に着手,1894年から1914年にかけて21号に及ぶ赤煉瓦造の三菱館を建て,付近一帯は〈一丁ロンドン〉と称された。1914年には東京駅,23年には丸ビルが落成,丸の内は日本最大のビジネス街として急速に発展していった。第2次大戦中も大部分のビルが被災を免れ,戦後の経済発展にともなって,丸の内は日本の経済管理機能の集中する中枢地域としてますますその重要性を増した。
執筆者:正井 泰夫
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東京都千代田区東部の一地区。徳川家康入府前は日比谷入江(ひびやいりえ)とよばれる東京湾の一部であったが、1593年(文禄2)以降埋め立てられた。内堀と外堀の間にあり、江戸城郭の内にあることから地名がつけられた。旗本の林大学頭(だいがくのかみ)のほかは、大名24の藩邸があり大名小路(こうじ)とよばれた。1872年(明治5)銀座の火事で類焼し、のちに陸軍の兵舎、練兵場となる。1890年兵舎など移転費用捻出(ねんしゅつ)のため三菱(みつびし)(岩崎弥之助(やのすけ))に150万円で売却され三菱ヶ原とよばれた。1894年以降、ロンドンのロンバード街に倣って赤煉瓦(れんが)造のビル街を建設、一丁ロンドン(一丁は約100メートル)とよばれた。1914年(大正3)東京駅完成後、事務管理機能の集中する都心のビル街として、急速に発展した。丸の内2丁目の明治安田生命保険相互会社の明治生命館は国指定(1997)重要文化財。丸の内3丁目にあった東京都庁は1991年(平成3)新宿副都心に移転、跡地は会議・展示施設の「東京国際フォーラム」(1997年開設)となった。
[沢田 清]
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…付近は必ずしも居住には適さないところであったが,水運の便に恵まれ商工業が発達した。明治以降,日本橋や銀座一帯は商業地区となり,1914年東京駅が開業して以来発展した丸の内一帯はビジネス地区,また霞が関一帯は中央官庁が集中する行政地区となり,日本の政治・経済の中心をなしている。ビジネス街,官庁街の集中する千代田区の昼間人口は104万人(1990)で,夜間人口の26.4倍に膨脹する。…
…東京丸の内地区を基盤とする賃貸ビルの最大手企業。近年は住宅・地域開発,建築設計分野の事業も積極的に展開している。…
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出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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