併合(読み)ヘイゴウ(英語表記)annexation

翻訳|annexation

デジタル大辞泉 「併合」の意味・読み・例文・類語

へい‐ごう〔‐ガフ〕【併合】

[名](スル)
いくつかのものを合わせて一つにすること。また、合わさって一つになること。合併統合。「大手メーカー中小の会社を併合する」
国際法上、ある国が他の国の領土全部または一部を合意によって自国のものとすること。
[類語]合体合同合併連合同盟連盟合一合流合わせる合わす合わさる

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精選版 日本国語大辞典 「併合」の意味・読み・例文・類語

へい‐ごう‥ガフ【併合・并合】

  1. 〘 名詞 〙 あわせること。一つにすること。合併。
    1. [初出の実例]「令七道按察使及大宰府。巡省諸寺。随便併合」(出典:続日本紀‐養老五年(721)五月辛亥)
    2. [その他の文献]〔漢書‐鮑宣伝〕

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改訂新版 世界大百科事典 「併合」の意味・わかりやすい解説

併合 (へいごう)
annexation

国際法上,これまで自国に属していない領域を,国家が一方的行為によって自国の領域とすること。他国の領土の全部または一部,あるいは,これまで自国の保護下にあった国の領土の全部または一部に対してなされる。領土の全部が併合されるとき,当然にその国は消滅し,領土は併合した国の領土(または植民地)となる。国民はこれまでの国籍を失い,併合国の国籍を取得する。被併合国の条約上の権利義務については,併合される土地そのものに付着する負担は継承されるが,それ以外は併合により消滅するというのが通説である。

 併合は,征服のように,戦争の戦勝国が敗戦国に対してなす場合が多いが,最近では平時においても見られる。それは,保護国(保護国・被保護国)の場合のようにこれまで実質的に自国の支配下にあった領域を,自国の植民地とするか(1914年のイギリスによるキプロス島の併合がその例),自国領土に併合する場合(1910年の日韓併合がその例)である。日韓併合のときには,日韓併合条約が結ばれているが,日本は1905年以来韓国を保護下に置いていたのであり,このとき,合意によってではなく,日本による一方的な併合行為がなされたと見るべきである。

 征服conquestとは,国家が実力行使して他国の領土の(通例は)全部を併合することである。したがって,征服された国は消滅する。36年のイタリアによるエチオピア征服がその例である。征服が法的に成立するためには,まず,実力によるその国の全領域の支配が完全に確立することが必要である。たとえ全領域を支配したとしても,同盟国がなお戦争を継続しているときは,単なる軍事占領であり征服としての効果は生じない。次に,征服する国によって併合する意思が公式に表明されなければならない。第2次大戦後,日本とドイツは無条件降伏し全国土を占領されたが,連合国側が併合の意思を否認したので,征服は成立しなかった。

 国際連合憲章の下では,戦争を含めて武力行使が一般に否定されているので,今日では,征服を領域取得の法的根拠として認めることはできない。
割譲
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日本大百科全書(ニッポニカ) 「併合」の意味・わかりやすい解説

併合
へいごう
annexation

国際法上認められる領域取得の方式の一つで、ある国が他の国との合意によって、領域の全部を譲り受けることをいう。割譲と異なるところは、譲渡国の領域の一部でなく、全部を取得することである。併合により、併合される国は国家としての存在を失って消滅する。この点で征服と同じであるから、併合と征服とをあわせて広義の併合として理解するむきもあるが、征服が実力を用いて一方的に行われるのに対し、併合は合意によるものである点で区別される。しかし、征服は国際法上、国際関係における武力行使禁止の原則の成立に伴い、もはや今日では認められない。併合も、昔から合意に基づくとされながら、実は強制によるものであった例が少なくない。1969年の「条約法に関するウィーン条約」で、武力による威嚇および武力の行使に基づく条約の締結は条約の無効原因とされたので、今後は、併合条約が成立しても、見せかけの合意か真の合意かが、あとで問われなければならない。

[太寿堂鼎・広部和也]

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「併合」の意味・わかりやすい解説

併合[国際法]
へいごう[こくさいほう]
annexation

一国が他国の全領域を取得し,被併合国が国家としての存在を失う行為。合意に基づいてなされる任意的併合と,実力に基づいてなされる強制的併合 (征服) とがある。かつて国際法は征服を領域取得の正式の権限として認めていたが,現在では不戦条約や国際連合憲章で武力行使が制限,禁止されているためこれに違反する強制的併合は認められない。なお,被併合国の国民は,原則として従来の国籍を喪失し,併合国の国籍を取得する。被併合国の条約上の権利義務については,併合された土地そのものに付随するものは一般に併合国に承継され,それ以外のものは併合によって消滅するものとされる。

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普及版 字通 「併合」の読み・字形・画数・意味

【併合】へいごう

合併する。

字通「併」の項目を見る

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ASCII.jpデジタル用語辞典 「併合」の解説

併合

「マージ」のページをご覧ください。

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世界大百科事典(旧版)内の併合の言及

【駅】より

…【村山 繁樹】
[駅の機能と設備]
 駅の最も基本的な機能は,到着や出発など列車の定められた運行を確保することと,旅客の乗車,降車を安全に円滑に行うことである。駅における列車の運行形態には,到着や出発のほかに,通過,待避と追越し,分割と併合(分割は列車の行先が2方向になる場合や,列車の編成両数を減らす場合に列車を二分すること,併合は分割の逆)などがあり,これに応じて必要な線路とプラットフォームplatform(単にホームともいう)の形状(これを配線という)が決まる。ホームは旅客の乗車と降車のための設備で,その大きさは旅客の乗降数,列車の編成長などに左右される。…

【割譲】より

…国家間の合意による領土の一部の移転。これに対し,領土の全部の移転を併合といい,両者をあわせて譲渡という。合意は,通常の場合条約を結ぶことにより表現される。…

※「併合」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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