公職選挙(町村議会の議員を除く)に立候補する際に、法務局に供託を義務づけられている金員または国債証書をいう。衆議院議員、参議院議員、町村を除く地方公共団体の議会の議員、地方公共団体の長の選挙に立候補(または推薦の届出を)しようとする者は、その届出に際し、選挙の種類に応じて定められた額の金員または国債証書を供託しなければならない(公職選挙法92条)と定められている。これらの金員と国債証書(供託物)を一般には供託金とよんでいる。供託金は、原則として選挙終了後に返還されるが、一定数以下の得票にとどまったとき、あるいは立候補辞退などの場合には、没収され、国庫または地方公共団体に帰属する。
供託金制度は、1925年(大正14)の普通選挙法において、泡沫(ほうまつ)候補の防止策として創設され、現行公職選挙法にまで受け継がれた。このことは、供託金制度が被選挙権の行使上、不当な制約にはならないととらえられていることを示しているが、供託金が高すぎるとの批判もみられる。
[佐々木髙雄]
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(蒲島郁夫 東京大学教授 / 2007年)
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…供託の大部分は地代・家賃であって,とりわけ地代・家賃の値上げ紛争のときに行われているのが現状である。ほかに公職選挙立候補の際の供託金という用法もある。 供託は,その機能から(1)弁済供託,(2)担保(保証)供託,(3)執行供託,(4)没取供託,(5)保管供託の5種に大きく分類される。…
…ただし,衆議院の小選挙区比例代表併立制のもとでは,政党候補者に限り,小選挙区と比例区への重複立候補が認められ(86条の2‐4項),小選挙区で落選しても比例区で当選することができる。〈衆議院〉の項参照),選挙事務関係者および公務員の立候補には一定の制限が置かれており(88,89条),候補者になることのできない公務員が候補者として届け出られた場合には,届出日に公務員を退職したものとみなされ,逆に候補者として届け出た者が,候補者になることのできない選挙事務関係者または公務員になった場合には,立候補を辞退したものとみなされることになっていること(90,91条),立候補の届出または推薦届出には一定額の供託金が必要であること(92条),などである。供託金制度(供託)は,売名立候補や候補者乱立を防ぐ目的で設けられている制度であり,供託金は原則として選挙の終了とともに返還されるが,一定数以上の得票がない場合,および候補者が立候補を辞退した場合には,没収されて,国庫,都道府県,または市に帰属する(93,94条)。…
※「供託金」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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