信託(読み)シンタク(英語表記)trust

翻訳|trust

デジタル大辞泉 「信託」の意味・読み・例文・類語

しん‐たく【信託】

[名](スル)
信用して任せること。「国民の信託による政治」
他人に財産権の移転などを行い、その者に一定の目的に従って財産の管理・処分をさせること。「遺産の管理運用を銀行に信託する」「信託証書」
[類語]預ける委託依託頼む託するゆだねる任せる寄託預託委任付託言付ける

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共同通信ニュース用語解説 「信託」の解説

信託

個人や企業などが所有する財産を専門の銀行などに託し、管理や運用を任せる制度。財産の所有権は信託先に形式上移転し、運用で生まれた利益を個人や企業などが受け取る。お金や株式、土地などが信託の対象となり、効率的な資産運用のほか、子どもや孫への資金援助、相続といった幅広い用途で使われる。信託銀行や信託会社が業務を手掛けている。

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精選版 日本国語大辞典 「信託」の意味・読み・例文・類語

しん‐たく【信託】

  1. 〘 名詞 〙
  2. 信用してまかせること。
  3. 他人に財産の権利を移し、一定の目的に従って、その管理や処分をまかせること。〔英和商業新辞彙(1904)〕

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改訂新版 世界大百科事典 「信託」の意味・わかりやすい解説

信託 (しんたく)
trust

他人(委託者)から財産権の移転または設定を受けた者(受託者)が,その財産(信託財産)を一定の目的に従って管理処分すべき拘束を受ける法律関係をいう。信託の利益を享受する者は受益者(委託者が兼ねることもある)と呼ばれる。信託は,代理のように財産権自体は本人に帰属したままで代理人には財産を管理処分する権限のみが与えられるにすぎない制度とは異なって,財産権自体を受託者に移転することによってその管理処分を行わせる制度である。信託の特色は,財産権を他人に移転することとその他人が一定の目的に従って財産の管理処分をなすべき拘束を受けることの2点にある。

このような特色を備えた制度は,古代ローマ法上のフィドゥキアfiduciaやフィデイコンミッスムfideicommissum,中世ゲルマン法上のサルマンSalmannなど古くから各地に存在していた。しかし,今日の信託制度は,中世のイギリスにおいて発達したユースuseおよびその発展形態であるトラストtrustに由来するものである。中世のイギリスでは,主として土地の相続や贈与に伴う封建法上の負担や制限を回避するために,土地の所有者が信頼のおける者を受託者としてこれに土地を譲渡し,自己または第三者が受益者としてその収益を取得するという慣行が発達した。これをuseといい,当初は受託者の良心にのみ受益者の地位が依存していたものが,しだいに大法官の主宰する衡平法裁判所による救済をとおして受益者の法的保護が図られるようになり,ついに信託財産に対しては受託者が普通法上の所有権を有する一方,受益者も衡平法上の権利を有するというように信託財産上に二重の所有関係が認められるに至った。それだけ受益者の法的地位が強化されたわけであり,これが英米法系の諸国において信託を契約と並ぶ一般的な法制度として発展させたおもな原因である。日本では1905年の担保付社債信託法によって信託思想が導入され,22年の信託法および信託業法によって一般的な信託制度の法制化が実現した。

信託には大別すると私益信託公益信託の2種がある。公益信託は宗教,慈善,学術など公益を目的とする信託であり,その設定には主務官庁の許可が必要である(信託法68条)。私益信託はそれ以外の信託であり,任意の目的のため自由に設定することができる。信託は委託者と受託者との間の契約によって設定されるのが普通であるが,委託者が遺言によって信託を設定することもできる(2条)。信託の設定を内容とする契約または遺言を信託行為という。

 信託の中心となるのは信託財産である。信託財産は受託者に帰属するものの,受託者個人の財産とは厳格に区別される。すなわち,受託者個人の債権者は信託財産に対して強制執行をすることは許されず(16条),受託者が破産宣告を受けた場合には信託財産は破産財団に属さない。受託者が死亡した場合には信託財産はその相続財産を構成しない(15条)。信託財産に属する債権と受託者個人の債務とを相殺することはできない(17条)。このような信託財産に認められた性質を信託財産の独立性という。また,信託財産の賃貸料や信託財産の売却代金など信託財産の管理処分によって受託者が取得した財産,および損害保険金や賠償金など信託財産の滅失棄損によって受託者が取得した財産は,当然に信託財産となる(14条)。これを信託財産の物上代位性という。このように信託財産は独立性と物上代位性を備えることによって,信託の目的に即した統一的かつ永続的な存在を確保するのである。

 この信託財産を管理処分する権限は受託者に専属する。信託財産の管理処分の方法としては,信託財産中の金銭を貸し付けること,これで株式や社債を買い付けること,信託財産中の不動産を賃貸することなどがある。信託財産の管理処分は究極のところ信託の利益を享受する権利(受益権)を有する受益者のために行われることになる。受益者は委託者が1人で兼ねることもあれば,2人以上のこともある。受益権は信託財産の全部または一部(とくに信託財産の収益)の給付を受けることを内容とする財産権であり,とくに金銭の給付を内容とする受益権は一般の金銭債権となんら異なるところはない。ただ,金銭の給付を内容とする受益権であっても特定の受益者の教育や扶養などを目的とする信託の受益権はその受益者に一身専属的なものであって他人に譲渡することはできない。このほか受益者には,受託者が信託の本旨に反して信託財産を処分した場合に一定の要件の下にその処分行為を取り消す権利(31条),信託財産に対する強制執行に対して異議の訴えを提起する権利(16条),受託者に対して書類の閲覧を請求する権利(40条),裁判所に対して受託者の解任を請求する権利(47条)などが与えられている。信託自体は私法上の法律関係ではあるが,その性質上受益者はじめ多数の利害関係人に影響するところが少なくないので,受託者による信託財産の管理処分など信託事務の処理が適正に行われるよう,私益信託の場合には裁判所が,公益信託の場合には主務官庁が,それぞれ必要に応じて監督的役割を果たすことになっている(41,67条)。

 最後に,信託と並んでしばしば用いられる信託的行為という概念について述べる。これは19世紀末のドイツにおいて提唱された学説に由来する概念であって,譲渡担保や手形の隠れたる取立委任裏書のように経済的な目的(債権の担保,手形金の取立て)と法律上の手段(所有権の移転,手形債権の譲渡)との間に不一致のある行為のことをいう。
執筆者:

営利事業として信託の引受けを行うことを信託業といい,営業信託ともいう。日本で信託業を営んでいるのは信託銀行と信託兼営の銀行であり,金融機関として大蔵大臣の監督下にある。信託制度はイギリスにおいて財産管理の制度として遺産処理を中心に発達したが,これを摂取したアメリカでは遺産処理のほか財産の管理運用や利殖の手段として利用され,営業信託を中心に発展した。イギリスでは個人による信託の引受けが中心であったが,アメリカでは銀行による信託の引受けが盛んである。アメリカにおける初期の信託会社は金融業者であり,1880年代後半に増加した信託会社の実態は銀行であった。州法銀行よりも州法信託会社のほうが金融業を営むうえで有利であったためである。金融業者としての信託会社はその後姿を消し,今日の信託会社(銀行の信託部門)は一定の手数料(信託報酬)を対価に個人,法人,社会にサービスを供与する役務提供機関である。現在のアメリカ商業銀行においては資金の貸付けは銀行部門の仕事とされ,信託部が受託した資金は主として有価証券に投資されているが,これは日本の信託業において受託した資金の多くが貸出しに運用されているのと対照的である。アメリカの信託業務は個人信託業務と法人信託業務に大別される。個人信託業務は遺産の処理と財産の利殖および年金信託が中心である。法人信託業務は公社債,投資信託動産設備信託等の信託業務と株式の登録や名義書換えなどの代理業務から成るが,中心は公社債関係業務と証券代行業務(株式の名義書換代理人業務)である。ほかに公益信託も扱っているが,公益信託はイギリスにおいても盛んである。

日本における最初の信託会社は1903年に創業された東京信託社で,10年以降に急増したが,これら初期の信託会社はアメリカにおける初期の信託会社営業に範を得た金融業者であった。1907年から14年ごろまで続いた深刻な不況のなかで中小商工業者は,銀行の門を閉ざされ,かつ良質の庶民金融機関もなかったため金融難に苦しみ,無尽や信託などの名を冠した金貸業者に金融を依存した。このような貸金業者としての零細な信託会社は,23年の信託業法(1922公布)の施行まで存続し,高利営業のゆえに社会の指弾を受けた。一方第1次大戦中の好況下に大規模信託会社が続出し,これらの信託会社は既存の金融組織を補完する形で企業金融の分野に進出した。大規模信託会社の増加は,信託業に対し行政上の規制がないため有望な事業とみられたことによるが,この新しい金融業態の参入は第1次大戦後経営が不安定であった普通銀行を脅かしたため,1922年に成立した信託業法は,信託会社を社会のために財産管理を行う社会奉仕的機関とすることを想定して制定され,財閥による信託会社経営を期待した。財閥各社は当初採算見通し難から信託業への進出をためらっていたが,24年に三井信託(株),25年に共済信託(株)(のちに安田信託銀行)が設立され,三井,安田の両財閥を主体に金銭信託を中心とした信託会社経営が開始された。金銭信託は利回りがよいうえ安全性が高いとみられたので,当時中小銀行に不安を感じていた預金者が定期預金を解約して乗り換えたため金銭信託は著増した。信託会社は金銭信託によって集めた資金をもっぱら長期の貸出しに運用し,また公社債の引受けにも力を入れ第2次大戦前日本の金融機構のなかで長期金融機関としての地位を確立した。第2次大戦後信託会社は信託銀行として新発足し,60年代の高度成長期に貸付信託を中心に長期金融業務に注力し,ふたたび長期金融機関としての地位を定着させた。

営業として信託を引き受ける場合に受託できる財産につき信託業法では,金銭,有価証券,金銭債権,動産,不動産,地上権,土地の賃借権に限定している(4条)。このうち金銭で引き受けかつ金銭で返還するのが金銭信託と貸付信託であり現在の信託業務の中心を成している。1962年に発足した適格退職年金信託と66年から開始された厚生年金基金信託(調整年金)は金銭信託,貸付信託に次ぐ金銭の引受業務である。適格退職年金信託は企業を委託者,従業員を受益者とする信託で,掛金を企業(従業員が一部負担する場合もある)が払い込み,従業員が退職したのちに退職年金を支給するものである。厚生年金基金信託は企業が厚生年金基金を設置して国に代わって掛金を徴収し,信託銀行に資金の管理運用を委託して年金の給付を行うしくみの信託である。

 有価証券の信託は,信託設定の際に受託財産として有価証券を受け入れ,その有価証券の管理,運用を目的とするものであり,目的によって信託の種類も分かれるが,利用が多いのは貸付有価証券信託である。これは受託した有価証券を貸し付け,これを借り受けた人が,この証券を公共工事の入札保証金として使用したり,証券を担保にして資金を借り入れるものである。金銭債権の信託は,債権者が自己の有する債権を管理処分するために信託するものであり,第2次大戦以前には生命保険債権を信託し,満期死亡時に信託会社が保険金を受け取ってこれを管理する生命保険信託がほとんどであった。現在は住宅金融専門会社などが住宅金融をリファイナンスするために,住宅ローンの融資債権を信託する住宅ローン債権信託が中心である。動産の信託は,商品の受渡しをする問屋類似行為として長い間禁止されていたが,第2次大戦後アメリカの動産設備信託にならって,鉄道車両や船舶の建造のための資金調達形態の一つとして,1956年から日の目をみることになった。この信託は鉄道車両などの機械設備をつくる機械工業会社から信託財産として機械設備を引き受け,これを電鉄会社などに一定の賃貸料をとって貸し付けるものである。不動産の信託は,信託設定の際に受託財産として不動産を引き受ける信託であるが,おもに利用されているのは建物信託である。これは動産の信託同様におもに法人企業の資金調達の一形態として,ビルディング,ホテル,スーパーマーケットなどを建設する場合に,その建物を利用しながら実質的に建設費を長期に割賦償還するものである。地上権と土地の賃借権も信託できるが実際上ほとんど行われていない。

 担保付社債信託法による担保付社債信託は信託会社が社債の担保権を保有して社債権者の保護を図る制度で,1905年に外資導入をねらって採用され,以後社債発行の制度として定着した。証券投資信託(投資信託)は証券投資信託法に基づく制度で,証券投資信託委託会社が委託者となり,信託銀行を受託者とする信託であるが,国債発行が増加して国債組入れのファンドが増えるにつれて受託も増加している。

 信託業務はほとんどが私益信託であるが,社会公共へのサービスを供与する信託として公益信託がある。公益信託は,信託法の規定により慈善,学術等公益を目的として社会一般の不特定多数の人々のために設定される信託である。公益信託は長い間利用されることがなかったが,公益法人にする必要の乏しいものについては公益信託の制度にすることが推奨され,70年代後半から増加している。信託の引受けにあたっては前述のように,金銭,有価証券,不動産と同種の財産ごとに行われることが多いが,これらの財産を一括して受託することもできる。これを包括信託または混合信託というが,遺言信託や公益信託などに効用が期待されている。信託業の付随業務として,不動産,証券,証券代行の各業務がある。不動産業務は,おもに不動産の仲介,分譲,鑑定の三つから成るが,信託会社以来の実績により不動産業界において枢要な地位を占めている。証券業務は,信託会社時代に公社債の引受業務で業績をあげたが,証券取引法により引受業務が禁止されたため,現在ではその他の証券業務とくに顧客の注文による有価証券の代理売買に実績をあげている。証券代行業務は,株式名義書換代理人として株式事務全般を代行する業務で,上場企業の株式事務の大部分は信託銀行によって処理されている。
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日本大百科全書(ニッポニカ) 「信託」の意味・わかりやすい解説

信託
しんたく
trust

委託者が自己の財産を信頼しうる他人(受託者)に譲渡し、自己の指定した者(受益者)の利益のために管理または処分させること。信託は契約または遺言によって設定され、宗教・慈善・学術そのほか公益を目的とする公益信託、個人的利益を目的とする私益信託に分けられ、信託の引受けを営業とするか否かで、営業信託と非営業信託とに区別される。

[麻島昭一]

歴史

中世イギリスに発生したユースUseが信託の起源といわれる。教会・信者が封建領主の土地支配・課税に対抗して、自らの利益を守るために考え出した制度であり、のち一般的な財産管理運用の制度へ発展した。イギリスでは個人が無報酬の非営業信託として受託する形で定着し、遺言の慣習を背景に遺産処理が信託の中心的業務となった。アメリカに渡った信託制度は、金融機関が個人・法人の財産管理を営業として引き受ける形をとり、委託者によって個人信託・法人信託に分けられ、受託者は巨額の信託財産を擁するに至った。信託制度は概して英米法体系に属する諸国にみられる(カナダ、インド、オーストラリアなど)。日本は英米の信託制度を模倣したが、まず日露戦争後の外資導入に絡んで、1905年に担保附社債信託法(明治38年法律52号、現在は担保付社債信託法と改称)だけが制定され、のち金融制度整備の一環として1922年に信託法(大正11年法律62号)および信託業法(大正11年法律65号)が制定され、ここに信託業務一般の法的基礎が確立、信託会社が信託業務の独占的担い手として登場した。

[麻島昭一]

日本の信託制度

近代的信託制度では、委託者の信託財産ごとの分別管理、管理運用結果の実績配当、慎重な管理者の注意義務などの原則を内包するが、日本ではやや特殊な発展を遂げている。第一に、信託業法は財産形態別の受託形式を採用した。すなわち、財産種類を金銭、有価証券、金銭債権、動産、不動産、地上権、土地賃借権の7種に限定し、かつ英米のように諸種財産を一括受託することを認めなかった(包括主義の否定)。第二に、金銭の受託、とくに指定金銭信託合同運用が異常なまでに発達した。その理由は、分別管理原則の例外をなし、大小さまざまな資金を合同運用し、元本を保証した高利回りの金融商品であったからである。

 その結果、遺産処理・管理を中心とするイギリス信託業、有価証券受託を柱とするアメリカ信託業とも異なる、利殖目的の金銭を受託の中心とする日本独自の信託業が形成されたのである。別言すれば、富裕な財産所有者を営業基盤とし、長期大口の安定資金を集積した日本信託業は、諸種の財産の管理運用機関というよりは長期金融機関の性格をもった。

 第二次世界大戦後も信託業法で定められた信託の制度的枠組みは維持され、そのなかで信託業務の拡大が図られた。すなわち、信託会社が銀行業務兼営を認められて変身した信託銀行は、貸付信託(指定金銭信託合同運用の一種)を原動力に大発展を遂げ、長期信用銀行と並ぶ長期金融機関の地位を確立、証券投資信託(特定金銭信託)の受託、社会福祉の一環を担う年金信託(指定金銭信託単独運用)でも発展した。信託の利用者は大衆化し、大口財産家に依存した第二次世界大戦前と比較して著しく拡大したが、金銭の受託を主とする日本信託業の性格は依然として不変である。

 そして金融自由化の波のなか、1985年(昭和60)以降外資系銀行の信託業参入や、銀行・証券会社などの子会社方式による参入が相次ぎ、既存信託銀行の独占は破られた。さらに信託業法は2004年(平成16)12月、信託法は2006年12月に改正された。それは80年ぶりの大改正で、実態にあわせた見直し、かつ信託利用拡大の道を開くものであった。すなわち、受託可能財産の制限を撤廃して、信託事業の自由な展開を可能にし、信託業の担い手を拡大し、金融機関以外の信託業参入を認めるなど信託制度に新紀元を画した。

[麻島昭一]

『信託協会編『信託実務講座』全8冊(1962~64・有斐閣)』『麻島昭一著『日本信託業発展史』(1969・有斐閣)』『麻島昭一著『日本信託業立法史の研究』(1980・金融財政事情研究会)』『麻島昭一著『戦前期信託会社の諸業務』(1995・日本経済評論社)』『森一七編『信託銀行読本』(1973・金融財政事情研究会)』『信託協会調査部編『信託用語辞典』(1976・東洋経済新報社)』『山田昭著『信託立法過程の研究』(1981・勁草書房)』『林宏編『信託の時代――信託の機能と信託銀行の責務』(1991・金融財政事情研究会、きんざい発売)』『信託業務研究会編『Q&A 信託110のポイント』(1992・金融財政事情研究会、きんざい発売)』『経済法令研究会編『信託業務入門――図とイラストでよくわかる』5訂版(2004・経済法令研究会)』『トラスト60編『ハンドブック 信託』(2008・金融財政事情研究会、きんざい発売)』

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百科事典マイペディア 「信託」の意味・わかりやすい解説

信託【しんたく】

信託法上,財産所有者(委託者)が金銭,有価証券,不動産などの財産(信託財産)を財産権の移転・設定によって他人(受託者)に管理・処分させ,その利益を自己または指定する者(受益者)に交付させることを委託する契約。受託者(信託会社信託銀行)は委託された財産によって債券を買うとか貸付をするなどして得た運用利益を受益者に配当する。受益者には公益を目的として公共的な団体が指定される場合もある。信託制度は,英国で15世紀に土地の遺贈に関連して始まり,財産管理,遺産保全などに利用されて発達。日本では,1905年担保付社債信託法制定に始まり,1922年の信託法信託業法制定で本格化した。金銭信託が中心だったが,第2次大戦後,証券投資信託貸付信託が発展し,現在では,上記のほか有価証券信託不動産信託金銭債権信託動産設備信託担保付社債信託年金信託などがある。
→関連項目農地信託非訟事件

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「信託」の意味・わかりやすい解説

信託
しんたく
trust

他人 (受託者 ) に一定の目的に従って財産の管理または処分を行わせることを目的として,受託者に財産権の移転その他の処分をすること (信託法1) 。英米法で発展した制度である。これに対して,広義では,当事者の一方が自己の名義で権利を保有しながら,それを他人 (受益者) のために行使しなければならない関係をいう場合,たとえば,譲渡担保や取立てのためにする債権譲渡などの場合のように信託的行為をさすこともある。

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世界大百科事典(旧版)内の信託の言及

【トラスト】より

…競争制限を主目的とした企業間の水平的結合をいい,〈企業合同〉ともいう。ときには,この企業結合行為ばかりでなく,企業結合の結果として成立した独占的市場支配力をもつ巨大企業そのものをいう。トラストという用語は,アメリカにおいて1870年代に発生した〈受託者方式(トラスティー方式trustee device)〉による企業結合に由来する。その発端となったスタンダード・オイル・トラスト(1879成立)を具体例としてみると,同社は,アメリカの石油精製能力の約90%を占める約40社の株式がJ.D.ロックフェラーを中心とする9人の受託者に委託される協定を基礎にして成立した企業である。…

※「信託」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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