開発途上国に相対することばであるが、非常に漠然としてあいまいな形で用いられている。かつては後進資本主義国であるドイツ、日本などに対して、先進資本主義国としてのイギリス、フランスなどをさして用いられた。現在では開発途上国問題の研究を通じて先進国の意味づけがなされているが、多様な側面をもっているため、立場の違いからさまざまな分析が可能であり、それだけ包括的に定義づけることは困難である。いま常識的には経済的立場から用いられる。この場合は、1人当りの所得水準、工業化の進展の度合いが定義づけの基準となる。高所得国ではあるが工業化が進んでいない中東の産油国などは先進国には分類されない。経済的発展は、科学・技術、政治・社会制度およびその他の文化的諸側面の発展がその前提とされるため、先進国は、経済のみならず、政治、社会、文化を含めて総合的に判断して比較的進歩している国といえる。なお近年は、先進国と開発途上国との二区分のほかに、その中間に、急速に経済成長・工業化を進めている国を中進国または新興工業経済地域(NIES(ニーズ))として位置づける三区分も用いられるようになってきている。かつて代表的な中進国であった韓国は、先進国クラブといわれるOECD(経済協力開発機構)に1996年加盟し、その後の発展により、2008年現在で国際通貨基金やその他の機関からも先進国として位置づけられている。しかし、世界銀行では先進国ではなく高所得国と分類されており、先進国の定義自体があいまいであることが、この例からもうかがえる。
[秋山憲治]
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