勧告(読み)かんこく

精選版 日本国語大辞典 「勧告」の意味・読み・例文・類語

かん‐こく クヮン‥【勧告】

〘名〙 ある行動をとるように説きすすめること。また、指揮命令関係のない行政機関が、互いに自主性を尊重しつつ、相手機関の任務達成について、専門的立場からの意見を提供すること。「人事院勧告
※条約改正論(1889)〈田口卯吉〉「私は大同団結の重なる人に向ひて小異を捨てて大同に一致することを勧告せねばなりません」

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デジタル大辞泉 「勧告」の意味・読み・例文・類語

かん‐こく〔クワン‐〕【勧告】

[名](スル)ある行動をとるように説きすすめること。「辞職勧告する」「人事院勧告
[類語]忠告警告諭告注意忠言諫言かんげん諫死意見いまし心添え勧奨慫慂奨励推奨推薦(―する)戒めるいさめるたしなめるとがめる諭す勧める薦める言い聞かせる言い含める説教𠮟責諌止苦言因果を含めるくぎを刺す

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「勧告」の意味・わかりやすい解説

勧告
かんこく

行政機関が、相手方の任意の協力同意を得て、その意思を実現しようとする行為。その性質については、法的拘束力をもたない非権力的行政作用であり、また、相手方に対して直接になんらの法的効果を伴わない事実行為である。行政指導一種である勧告は、行政手続法による統制の対象である。勧告は、その相手方との関係で、行政機関相互間におけるものと、行政機関が私人(個人・法人)に対して行うものに分けられる。大気汚染防止のための環境大臣による排出基準変更勧告(大気汚染防止法5条)など法令上の根拠をもつものもあるが、法令上の根拠をもたず、行政機関の所掌事務の範囲内で行われるものが多い。勧告の内容は、違法、不当な行為の防止、紛争の解決、利害調整、技術勧告など多様である。

[平田和一]

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「勧告」の意味・わかりやすい解説

勧告
かんこく

一定事項について,相手方に一定の措置をとることをすすめ,または促す行為。 (1) 労働関係調整法 26条に調停案の受諾の「勧告」という言葉があるが,この用語法からもわかるように,勧告とは,相手方がその内容を自発的に受入れることを前提とするものであって,相手方を拘束する力までもつものではない。 (2) 人事院勧告は人事院が人事行政などに関し,関係行政機関,国会,内閣に対して勧告することをいう。 (a) 人事行政の改善に関する勧告,(b) 国家公務員法の勤務条件の変更に関する勧告,および (c) 国家公務員の給与の変更に関する勧告 (国家公務員法 22,28,88) などがある。このうち,一般には (c) の勧告が最も重要視されており,単に人事院勧告という場合にはこれをさす。

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世界大百科事典(旧版)内の勧告の言及

【行政指導】より

…法令上の用語ではなく厳密に定義することは難しいが,慣例的な用法では,行政機関が国民の自発的協力を前提として一定の行政目的を実現するように働きかける行為を指す。行政指導のうちには,勧告,指示などといった法律上の規定に基づいて行われるものもあるが,多くは,行政処分と異なり,法律の根拠を有しない事実上の行為として行われる。自治体が要綱などに基づいて実施する開発指導はその好例である。…

※「勧告」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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