可処分所得(読み)カショブンショトク(英語表記)disposable income

デジタル大辞泉 「可処分所得」の意味・読み・例文・類語

かしょぶん‐しょとく【可処分所得】

個人所得総額から直接税社会保険料などを差し引いた残りの部分で、個人が自由に処分できる所得。いわゆる手取り収入のこと。

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精選版 日本国語大辞典 「可処分所得」の意味・読み・例文・類語

かしょぶん‐しょとく【可処分所得】

  1. 〘 名詞 〙 個人所得から、個人の支払う住民税所得税などの個人税および免許料罰金などの税外負担を差し引いたもの。個人が一定期間(通常一年)中に自由に処分できる所得。

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「可処分所得」の意味・わかりやすい解説

可処分所得
かしょぶんしょとく
disposable income

国全体あるいは各制度部門主体のすべての源泉の所得から,すべての経常移転の支払いを除いたもの。各制度部門別の可処分所得は所得支出勘定において求めることができ,国全体の可処分所得,すなわち国民可処分所得は所得支出勘定を統合することによって求めることができる。各制度部門別の可処分所得はそれぞれの制度部門主体の手元に残って実際に処分可能な所得であるが,非金融法人企業および金融機関ではそれは貯蓄に等しく,消費主体である一般政府,対家計民間非営利団体,家計では消費と貯蓄に分れる。このうち特に重要なのは家計の可処分所得であり,家計消費支出÷家計可処分所得=消費性向,家計貯蓄÷家計可処分所得=貯蓄性向あるいは貯蓄率,という。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「可処分所得」の意味・わかりやすい解説

可処分所得
かしょぶんしょとく
disposable income

国民所得概念一つ。個人が自由に処分できる所得をいう。可処分所得は、雇用者所得、個人業主所得、移転所得などによって構成される個人所得から個人税、社会保険料を控除したものである。個人は日常の経済生活のなかで、この可処分所得を個人消費と個人貯蓄とに配分していく。可処分所得は、消費性向、貯蓄率などが定義されるときに基礎となる概念である。

[鈴木博夫]

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百科事典マイペディア 「可処分所得」の意味・わかりやすい解説

可処分所得【かしょぶんしょとく】

国民所得計算上の用語。個人所得から個人所得税その他の公課を控除したもの。個人所得とは個人の受け取るあらゆる所得の合計であり,賃金,個人業主所得,個人の賃貸所得,配当,利子などのほか年金などの移転所得も含む。可処分所得は支出面で消費と貯蓄に分かれる。
→関連項目消費性向貯蓄性向

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知恵蔵 「可処分所得」の解説

可処分所得

実収入から、税金や社会保険料などの非消費支出を差し引いた手取り収入を、「家計が自由に処分することができる所得」という意味で、可処分所得という。

(上村協子 東京家政学院大学教授 / 2007年)

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世界大百科事典(旧版)内の可処分所得の言及

【国債】より

… 国債の発行が認められずに,国家財政は租税によってまかなわれるものとしよう。租税は国民の消費可能な所得(可処分所得)を減らす。納税者たちは,この減らされた可処分所得を前提に,現在の消費と,将来の消費のための貯蓄との合理的なプランをたて,それに応じて可処分所得を処分するだろう。…

【国民経済計算】より

…付加価値から他の主体との間の要素所得と受取りと支払の差である純受取り分を加えると,この主体の手取りとなる要素所得分が発生する。この要素所得の発生と(経常)移転の純受取り分を加えた大きさが,この主体にとっての可処分所得である。すなわち,この処分勘定は,この主体の可処分所得を最終消費支出と貯蓄とに処分する行動を表現しているとみることもできる。…

【財政】より

…日本の財政の経常収入面の主たるものは租税であるが,租税は一般的には直接税と間接税とから成り,直接税は大別して個人所得税と法人所得税とから成る。いずれも個人の収入ないし法人の利益から差し引かれるもので,国民経済は国民所得から直接税を引いた可処分所得が国民の自由処分の意思決定の根源となる(経常収入では政府の事業所得,財産所得も加わる)。間接税は日本では物品税が主であったが,消費支出あるいは売上げ全般にかかる消費税が,89年4月1日より実施されたのに合わせて廃止された。…

【所得】より

…国民所得から企業利潤や利子支払を差し引き,政府から個人への移転や企業からの個人への配当などを加えると,この個人所得が得られる。このうち所得税などを差し引き最終的に,家計が処分しうる所得を可処分所得と呼んでいる。 そのほか一国内の地域別に推計された地域所得として,日本の場合〈県民所得統計〉が作成されている。…

※「可処分所得」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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