第1次石油危機翌年の1974年、米国の提唱で設立された。加盟国は90日分以上の石油備蓄を義務付けられ、供給途絶の恐れがある場合に協調放出する。天然ガスや再生可能エネルギーの導入が進んだことから存在意義が問われるようになり、地球温暖化を含むエネルギー問題全般へと活動範囲を拡大。本部はパリ。(共同)
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世界のエネルギーを安定的に確保・供給していくための国際機関。英語の頭文字をとって、IEAと略称する。オイル・ショック後の1974年、アメリカ国務長官キッシンジャーの提唱で、経済協力開発機構(OECD)内の自律的機関として発足した。当初は、石油供給の途絶に備えるためにつくられた先進国の機関であり、産油国の石油輸出国機構(OPEC)に対抗する意味合いが強かった。しかし、石油需給の調整、エネルギー源の多様化、地球温暖化対策の必要性などから、備蓄した石油を緊急時に協調放出するほか、中長期のエネルギー需給の見通し策定と需給構造の改善策づくり、再生可能エネルギーを含めたエネルギー全般の研究・開発・普及、レアメタルなど重要鉱物の安定調達、加盟国のエネルギー政策の相互審査、非加盟国との協力などに取り組むようになった。危機時のエネルギー価格高騰を抑えるため、これまでに湾岸戦争(1991)、リビア内戦(2011)、ロシアのウクライナ侵攻(2022)時などに備蓄石油を協調放出した。加盟国は日本、アメリカ、イギリス、フランス、ドイツ、オーストラリア、韓国など、OECD加盟国のうち石油輸入量の90日分以上の備蓄をもつ32か国(2024年3月時点)。チリ、コロンビア、イスラエル、コスタリカが正式加盟を申請中で、中国、インド、ブラジル、タイ、ウクライナなど13か国はIEAアソシエーション国としてIEAとの協力を進めている。事務局をパリのOECD事務局内に置く。事務局長(任期4年、再任可能)は2024年12月時点で、トルコ出身でエネルギー分野のエコノミストであるファティ・ビロルFatih Birol(1958― )。職員数は約350人(2023年時点)。最高意思決定機関は加盟国代表で構成する理事会で、原則2年ごとに閣僚理事会を開く。日本の分担金はアメリカに次ぐ2位で全体の約13%を占める。なお、IEAとは別に、途上国や産油国も加盟する国際再生可能エネルギー機関(IRENA)がある。2009年のIRENA発足時は、IRENAとIEAは対立関係にあったが、近年は世界のエネルギー需給の調査・分析や政策提言で共同歩調をとっている。
[矢野 武 2024年12月16日]
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…国際エネルギー機関International Energy Agencyの略称。OECD(経済協力開発機構)に属する機関として,1974年11月設立。…
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出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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