第1次石油危機翌年の1974年、米国の提唱で設立された。加盟国は90日分以上の石油備蓄を義務付けられ、供給途絶の恐れがある場合に協調放出する。天然ガスや再生可能エネルギーの導入が進んだことから存在意義が問われるようになり、地球温暖化を含むエネルギー問題全般へと活動範囲を拡大。本部はパリ。(共同)
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世界のエネルギーを安定的に確保・供給していくための国際機関。英語の頭文字をとってIEAと略称する。オイル・ショック後の1974年、アメリカ国務長官キッシンジャーの提唱で、経済協力開発機構(OECD)内の政府間機関として発足した。当初、石油供給の途絶に備え、先進国間の相互融通や備蓄などの緊急時対応システムの構築をねらいとした。加盟国は日本、アメリカ、カナダ、イギリス、フランス、ドイツ、オーストラリア、韓国などOECD加盟国のうち石油輸入量の90日分以上の備蓄をもつ30か国(2019年5月時点)。事実上、石油を輸入している先進国であり、産油国の石油輸出国機構(OPEC)に対抗した機関であった。その後、石油需給の緩和、エネルギー源の多様化、地球温暖化対策の必要性などから、緊急時対策に加えて、中長期のエネルギー需給見通しの策定と需給構造の改善策づくり、エネルギー開発分野での協力、省エネルギー・再生可能エネルギーの研究・普及、加盟国のエネルギー政策の相互審査、非加盟国との協力などにも取り組むようになった。事務局をパリのOECD事務局内に置く。事務局長はトルコ出身でエネルギー分野のエコノミストであるファティ・ビロルFatih Birol(1958― )で、任期4年。職員数は約250人。最高意思決定機関は加盟国代表で構成する理事会で、原則2年ごとに閣僚理事会を開く。日本の分担金はアメリカに次ぐ2位で全体の約13%を占める(2019年時点)。
なお先進国で構成するIEAとは別に、途上国や産油国も加盟する国際再生可能エネルギー機関(IRENA)がある。2009年のIRENA発足時は、IRENAとIEAは対立関係にあったが、最近は世界のエネルギー需給の調査・分析や政策提言で共同歩調をとっている。
[矢野 武 2019年9月17日]
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